北方領土 四島一括返還を 実現求め宣言 北上で県大会
2017年度北方領土返還要求県大会は6日、北上市文化交流センターさくらホールで開かれた。約180人が出席。講演や交流事業の報告、大会宣言の採択などを行い、ロシアからの四島一括返還実現に向けた決意を確認した。
北方領土返還要求運動県民会議が主催し、県内持ち回りで開催。開会行事で会長の佐々木順一県議会議長は「北方領土は今も不法占拠が続き、数回にわたる日ロ会談を重ねている。時期を逸せず解決することを望む」とあいさつした。
講演では筑波大人文社会系の中村逸郎教授が講師を務め、国後島への渡航を踏まえた近年の情勢を紹介。「北方領土の開発は海産、農業、観光などで魅力があるが、ロシアは14年のクリミア半島併合後、欧米の経済制裁を受け、インフラを整備できていない」と指摘した。
その上で「中国などの外国資本も撤退し、日ロ経済共同活動の推進には良い環境。日本なくして四島が立ち行かなくなれば返還の道ができるのでは。国際政治を注視し、世論づくりをしていくためにも県民会議が重要だ」と強調した。
報告では、北方四島交流教育関係者・青少年訪問事業で色丹島を17年に訪れた県北教育事務所の柳原政輝指導主事が登壇。「生まれた時から現地に住むロシア人もおり、互いに問題の解決が難しくなったと感じた。一方、住民は日本に対して好印象があり、経済共同活動を期待する声もあった」と振り返った。
大会の最後に菅野路子市地域婦人団体協議会長が大会宣言を読み上げ、会場全体からの拍手で採択された。