体鍛え地域資源発見 監修有森さんら 屋外コース活用意義語る【北上】
スポーツリンク北上が主催する北上市アウトドアフォーラムは12日、同市のブランニュー北上で開かれた。市内に設定された屋外運動コースを監修した一流アスリートらを招いてパネル討議などが行われ、来場者がスポーツ資源を中心に北上が持つ魅力を改めて考えた。
スポーツリンク北上は、スポーツで地域活性化を図る官民共同組織。フォーラムはコースの紹介を兼ねて開かれ、市民ら約120人が集まった。
バルセロナ五輪女子マラソン銀メダリスト有森裕子さんは、監修した国見山のマラソン、ピクニックコースを「アスリートも挑戦するようなアスレチック的コース。思い切り手足を使う場所もあり、人間が本来持つ力を鍛えられる」と紹介した。
邦人女性で初めてK2登頂に成功した小松由佳さんは、JR北上線岩沢駅―夏油高原スキー場間のトレイルコースを監修。「水沢鉱山の労働者や湯治客が歩いた道を、鉱山史跡を見ながら歩ける。地域住民も設定に協力してくれ、大切にされている道。歴史と風土を絡めた素晴らしいトレイルができる」と説明した。
パネル討議の発言者は、有森さん、小松さん、市トライアスロン協会理事長の浅川進さん。コース活用の先にある振興策について、浅川さんは「選手にとって二つのマラソンと自転車大会があり、アクセスが良いまちは全国にない。沿道で地場産品を振る舞う『私設エイド』も見られ、応援側も楽しみ方が分かってきた。双方が楽しめるよう今後も尽くす」と述べた。
小松さんは「鉱山の歴史を知ることでコースにも深みが出た。スポーツの枠にとどめないことでさらに素晴らしい交流が生まれる」と指摘。有森さんは「住民自身が地域資源を素晴らしいと思えるかが問題。スポーツはきっかけにすぎず、社会的意義と結び付く形で地域資源を活用していくことが大切だ」と強調した。