花巻

戦没者、詳細に調査 石鳥谷 遺族会が顕彰誌発行【花巻】

「郷土の戦没者顕彰誌」を発行した石鳥谷地区遺族会の高橋会長(右)ら

 花巻市石鳥谷町の石鳥谷地区遺族会(高橋周作会長)は、同町好地地区の戦没者を調査した「郷土の戦没者顕彰誌」を発行した。約2年をかけ、遺族に対する聞き取りや文献精査を繰り返して完成させた労作。高橋会長(73)は「戦争は決して、遠いテレビの中だけの話ではない。この地区でもこれほど多くの人が亡くなっている、という事実を多くの人に知ってもらいたい」と話し、顕彰誌が平和教育に役立つよう願っている。

 A4判モノクロ、全49ページ。名簿や手記をはじめ、地域住民提供による出征写真や軍学校から家族に出された手紙、それぞれの戦没場所を示した地図などを載せ、資料的価値も高い出来栄えとなっている。

 このうち名簿は、同地区の遺族らに取材を繰り返して仕上げた87人分を収録。階級と氏名だけでなく、死没年月日や場所、本人の顔写真なども掲載し、同遺族会が寄せる顕彰誌への強い思いをうかがわせる。

 また、遺族手記は、兵団入りから復員までの苦難の日々、硫黄島戦没者慰霊巡拝の思い出、満州で働いていた父親が残した手帳の記載内容など多彩な内容。地域の14人から寄せられた文章は経験者、関係者にしか書き得ない詳細さで、読む者に強い印象を与える。

 顕彰誌は約120冊製作。遺族や市内図書館、地元小中学校などに寄贈予定という。

地域の記事をもっと読む

花巻
2025年5月15日付
花巻
2025年5月15日付
花巻
2025年5月15日付
花巻
2025年5月15日付