一関・平泉

木像観音菩薩坐像(一関・東川院) 文化審、国重文指定を答申

木像観音菩薩坐像(県教委提供)

 一関市大東町渋民の東川院が所有する木像観音菩薩(ぼさつ)坐像が国の重要文化財(美術工芸品・彫刻)に指定されることになった。平安時代末期の彫刻様式を示し、平泉で奥州藤原三代による寺院造営に携わった仏師集団が手掛けたと推定される仏像で、東北地方における仏像製作を考える上で重要な遺品だと評価された。9日に開かれた国の文化審議会で答申され、近く官報告示で正式に指定される。【4、13面に関連】

 県教委や一関市教委などによると、木造観音菩薩坐像は像高114・3センチで、寄せ木造り、漆箔(しっぱく)仕上げ。穏やかで繊細な作風に、肩から脇へ流れ込むような衣紋、膝の衣紋線など平安末期の彫刻様式を示している。

 その様式は中尊寺金色堂に安置された仏像(国宝)の中でも2代基衡の棺(ひつぎ)を納めるために造られた西北壇の阿弥陀如来像によく似ているが、つり目気味など新しい傾向も見られる。

 像は内部をえぐり空洞にする「内刳(うちぐり)」、像を造った上で一度首の部分を切って形を整える「鋸挽(のこぎりびき)」という技法が用いられていることから1170~80年代頃の製作と考えられ、奥州藤原氏3代秀衡に直接関係する仏像だといえるという。

 江戸時代の仙台藩地誌「渋民村風土記御用書出」などによれば、もともとは渋民に近世まであった観音寺の観音堂本尊が東川院に伝わったもので、同じく東川院に伝わる同寺の梵鐘(ぼんしょう)にも寺の創建に奥州藤原氏が関与したという銘文も残されている。

 県内の国指定重要文化財はこれで80件、彫刻の重要文化財は23件(うち国宝1件)となる。

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