一関・平泉

擦文土器 関心高く 平泉町内遺跡発掘 調査成果を報告

報告会の会場に展示された無量光院跡出土の擦文土器に見入る来場者

 平泉町の2017年度町内遺跡発掘調査報告会(町教委主催)は10日、平泉文化遺産センターで開かれた。今年度実施した調査のうち柳之御所遺跡や無量光院跡など主要6カ所について県教委、町教委の担当者が成果を報告。貴重な出土品も展示され、町内外から訪れた聴講者約60人の関心を集めた。

 町内で今年度発掘調査が行われたのは15カ所で、このうち柳之御所遺跡では外側の堀跡から明確な遺構として初めて土橋を確認。報告で県教委事務局生涯学習文化財課の櫻井友梓文化財専門員は「これまでの調査で中尊寺と柳之御所遺跡を結ぶ道路跡は確認されていたが、今回の土橋は周囲の遺跡との関連を改めて補強するもので、発見の意義は大きい」と語った。

 無量光院跡では北側を区画する堀跡が確認されたほか、遺跡南西隅の土坑から北海道を中心に使われていた擦文(さつもん)土器が町内から初めて出土。奥州藤原氏と北方との交流を裏付ける貴重な資料は会場に展示され、来場者が興味深げに見入りながら担当者に特徴などを質問していた。

 報告に先立ち、京都大大学院工学研究科准教授の冨島義幸さんが「御堂と荘厳―無量光院跡出土の瓔珞(ようらく)をてがかりとして―」と題し講演。平泉と京都の仏堂から出土した荘厳具を比較し、細かな線刻や立体感ある造形技術に優れた平泉の出土品から、平泉文化の水準の高さを改めて示した。

 休憩時間には冨島さんの監修で町が制作した、平安時代後期の平泉の様子を疑似体験できる仮想現実(VR)映像の上映も行われた。

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