一関・平泉

故郷の舞台楽しみ 東北ルーツ「星の祭に吹く風」 一関出身小松さん 6市公演に意欲

29日に「星の祭に吹く風」公演で故郷の一関市の舞台に立つ小松彩夏さん=岩手日日新聞社東台センター

 東北出身の俳優とスタッフで演劇を「被災地」と呼ばれる故郷に届ける東北ルーツプロジェクトは、2016年の「想稿・銀河鉄道の夜」に続く第2弾として「星の祭に吹く風」公演を岩手、宮城、福島3県の6市と東京都豊島区東池袋で行う。29日午後6時からは、一関市大手町の一関文化センターで開かれる。公演を前に主要キャストの小松彩夏さん(同市出身)らが岩手日日新聞社を訪れ、プロジェクトと故郷への思いを語った。

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 「星の祭に…」は、双数姉妹の小池竹見さんが脚本・演出、立石一海さんが音楽を手掛けた完全新作。宮沢賢治作品や東北の昔話に登場することの多い「風」をテーマに書き下ろされた。

 舞台となるのは岩手県の山里「深内(ふかない)」にある小学校。深内は遠野をイメージした架空の村という。2組のキャストで1962年と92年を描く。62年では、30年前に風と共に小学校に現れた「又三郎」のガラスのマントを掘り出すために卒業生が集まる。92年は廃校が決まった小学校に卒業生が集まり、星祭の準備が進められる。

 小松さんは今回、92年に登場する「トシコ」役。小松さんはトシコについて「地元を離れていて久しぶりに故郷に帰ってきた陰のある不思議な役」と今回の公演で帰郷した自分と重なる部分もあるという。

 今回の会場選定では小松さんが一関を強力に推した。「地元で舞台に立つのが夢だった。生まれ育った場所で友達や家族にも演劇を見せたいと思った」。プロとして初めて一関文化センターの舞台に立つことへのこだわりがあった。

 前回は「ジョバンニ」役で主役を務めたが、今回もカギを握るキャストの1人。宮沢賢治ゆかりの作品に続けて出演することについて「岩手出身として光栄」と喜び、「いろんな気持ちを持ってもらえる作品だと思う。多くの人に見てもらいたい」と呼び掛けている。

 同行した同プロジェクトの坂野早織代表理事は「演劇をもっと知ってもらいたい。東京で舞台をつくり、それを故郷に届け、そして東京での公演を通じて東北に興味を持ってもらえるようにと企画した」とプロジェクトへの思いを語っている。

 6市の「東北ツアー」は17日の福島県郡山市を皮切りに、21日同南相馬市、24日宮城県登米市、26日仙台市、29日一関市、31日大船渡市で行われる。4月には東京公演として同区の「東池袋あうるすぽっと」で4~10日に全10公演の予定。

 チケットは各公演の会場で販売しているほか、合同会社しゅつげん=03(4333)0878=で扱っている。問い合わせは同社まで。

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