一関・平泉

磐井川 桜並木再生へ 復元を考える会 児童らと苗木植樹【一関】

磐井川堤防の桜並木の再生に向けて行われた植樹祭

 一関市の「磐井川堤防改修に伴う桜並木の復元を考える会」(会長・小野寺眞利一関商工会議所副会頭)は28日、桜植樹祭を改修工事を終えた磐井川堤防左岸・青葉地区の磐井川聖観音像付近で開いた。伐採前のソメイヨシノの遺伝子を受け継ぐ苗木14本を植えたほか、小学生がタイムカプセルを埋設し、新たな桜並木へ思いをはせた。

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 植樹祭には同会や地元の山目地区まちづくり協議会の関係者、山目、赤荻両小学校の児童ら約400人が参加。初めに、小野寺会長が「先人が大切に育ててきた桜を後世に残し、一関市民の安らぎのエリアとなるように植樹する。桜は植樹が目的ではなく、一本一本が市民一人ひとりと大きく成長し、それぞれの歴史を刻むことが大事。桜の咲く季節だけでなく、その成長を年間を通じて楽しんでほしい」とあいさつ。

 堤防には桜を植栽するためのスペースとして盛り土で側帯が設けられており、1947、48年のカスリン、アイオン両台風の犠牲者を弔うために建立された磐井川聖観音像を挟む形で、高さ3メートルほどに成長した苗木14本を10メートル間隔で丁寧に植樹した。

 タイムカプセルの埋設は山目地区まちづくり協議会が企画。両校の全校児童が「成人になった私」などを記し、学年ごとに6カ所に埋めた。成人を迎えた際に開封する予定で、千葉遥葵さん(山目小3年)は「前にもここで花見をしたことがあるので、また花見をしてみたい。タイムカプセルを開けるのも今から楽しみ」と語っていた。

 磐井川堤防の桜並木は、中心市街地にある花見スポットとして親しまれてきたが、堤防内に根が侵入して空洞を発生させるなどの影響を及ぼしていたこともあり、国土交通省が2010年に改修工事に着手。工事に伴い、両岸のソメイヨシノは順次伐採された。同会は事業完了後の景観再生を見据えて11年2月、切り倒される前の桜の枝先(穂木)を採取。宮城県の造園業者に委託し、接ぎ木による苗木の育成を進めてきた。同会の植樹は、県立一関一高付近の磐井地区に続いて2回目となった。

 青葉地区の工事は17年3月に終了。市では磐井川緑地の桜堤(青葉地区)整備事業として、桜並木再生後の景観形成やイベント開催時の活用を目指し、夜間照明灯、水飲み場、ベンチを設置し、市民の憩いの場づくりを図った。

 堤防工事は現在、対岸の田村地区で進められており、今秋ごろには完成予定。その後は末広などの工事を進め、23年ごろには全体の改修を終了する見込みとなっている。

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【いわて百景・番外編】追憶・磐井川の桜並木

※動画で2015年4月に撮影(一部空撮)した「最後」の満開風景をご覧いただけます。無料公開期間は今年4月2日まで。

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