一関・平泉

東日本伝統工芸展 会心作で優秀賞 友禅作家 菅原高幸さん(一関)

東日本伝統工芸展で優秀賞のうち本県知事賞を受賞した菅原さん
光差すブナ林、そよぐ風表現

 京呉服すがわら(一関市新大町)代表取締役で友禅作家の菅原高幸さん(45)は、日本工芸会など主催の第58回「東日本伝統工芸展」に出品した友禅訪問着が優秀賞の一つである本県知事賞に選ばれた。木漏れ日が差し風がそよぐブナ林を表現した作品で、菅原さんは「いつか描きたいと思い続けていたモチーフで、受賞は今後の励みになる。気に入ってくれる人に身に着けてほしい」と語っている。

 菅原さんは一関市出身で、武蔵野美術大卒業後に友禅作家安達雅一さんに師事。2000年に帰郷して家業の呉服店を継いだ。これまで県内外で個展を開催したほか、全国染色作品展や日本染織作家展など数多くの受賞歴がある。

 今回出品した訪問着「そよ風」は、栗駒山のブナ林をイメージし、林に木漏れ日が差して心地よい風が吹く瞬間を淡い色合いで表現した。葉を一枚一枚細密に描かないことで風が吹いて多くの葉が舞う様子を引き立たせることにこだわり、「目では見えない風を見えるように描くのは大変だった」と振り返る。

 似たモチーフを帯に描いたことは過去にあったが、着物で表すのは初めてで「着物での描き方は帯と違った難しさがある。人が着たときに一番きれいに見えるよう、位置を考えて模様をあしらった」と語り、「権威ある工芸展で評価してもらいうれしい。これまで着物を着てくれた人への保証書代わりにもなると思う。これからもいい物を作っていきたい」と意気込みを新たにする。

 今回の東日本伝統工芸展には染織や漆芸、陶芸など工芸各種に約460点の応募があり、都知事賞や本県知事賞など優秀賞に9点、奨励賞に7点が選ばれた。菅原さんの作品を含む入選作品は、4月25~30日に東京都の日本橋三越本店で展示される。

▲木漏れ日が差し風がそよぐブナ林を描いた友禅訪問着「そよ風」

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