一関・平泉

平安の歌遊び再現 毛越寺「曲水の宴」 観客、みやびな世界に【平泉】

毛越寺浄土庭園の遣水を舞台に開かれた曲水の宴。観客が平安のみやびな世界に酔いしれた

 平安時代の貴族の歌遊びを再現した「曲水(ごくすい)の宴」が27日、平泉町の毛越寺で開かれた。新緑の中、浄土庭園を舞台に当時の装束をまとった歌人が「古(いにしえ)」を歌題に歌を詠み、県内外から詰め掛けた約3000人の観客が平安のみやびな世界に酔いしれた。【社会面に関連】

 曲水の宴は、庭園に水を取り入れる遣水(やりみず)に盃(さかずき)を浮かべ、流れに合わせて和歌を詠む歌遊び。32回目の今年は、歌人が詠んだ歌を読み上げる披講役に宮中歌会始披講会員の近衞忠大さんと櫛笥隆亮さんを迎え、主客歌人で画家の熊谷睦男さん(陸前高田市)と、山形県歌人協会推薦の5人が、男性が衣冠(いかん)、狩衣(かりぎぬ)、女性は袿(うちぎ)の平安装束をそれぞれまとい、遣水のほとりで歌題にちなんだ歌を短冊にしたためた。

 このうち主客歌人の熊谷さんは、自身が延年の舞「老女」の油彩画を描いた思いを「いにしえの 浄土楽土に 思ひはせ 描く老女の 鎮魂の舞」と詠んだ。

 同日は午後から曇りがちの空模様となったものの、会場には開宴前から多くの観客が詰め掛けた。陸前高田市から初めて訪れた佐竹強さん(74)は「昔は貴族しかできなかった平安のみやびな文化を実際に見て驚いた。感動した」と語った。

 同寺では、1983年に庭園の発掘調査で平安時代の遣水を往時の姿そのままに発見。85年に復元整備されたのを機に、翌年から毎年「曲水の宴」を開催している。

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