一関・平泉

崩落橋上から救出へ 県南消防士ら 特殊ロープ活用訓練公開 岩手・宮城内陸地震10年

行方不明者の救助を想定し旧祭畤大橋で行われた公開レスキュー訓練

 2008年6月14日に発生し、岩手、宮城両県を中心に甚大な被害を出した「岩手・宮城内陸地震」から10年を迎えるのを前に、一関市厳美町の災害遺構・旧祭畤大橋で8日、公開レスキュー訓練が行われた。県南の消防士ら約20人が参加。高強度で特殊なロープを使って行方不明者を救出する活動を通じ、ロープ技術の共有と地震の記憶の風化防止に努めた。

 全国各地で橋梁(きょうりょう)の点検や岩壁調査などに取り組む同市萩荘の日本空糸(伊藤徳光代表取締役)が昨年に続き企画。人や機材が入れない場所でロープを使って移動する「ロープアクセス技術」を用い、災害現場にも対応できるロープ技術を普及しながら、地震の記憶を風化させないことが目的。

 同日の訓練では、森林伐採作業中の60代男性が地震に遭い、行方不明になったと想定。参加者と行方不明者の捜索に当たる広域捜索犬、そのパートナーが旧祭畤大橋から約25メートル下の現場にロープを使って降り、捜索活動を行った。

 捜索の結果、行方不明者は橋の下から約50メートル南側で発見。参加者がけがの有無を確認し、行方不明者を救助用の器具に乗せ、橋の上に待機している隊員と協力してロープで引き上げた。

 祭畤被災地展望の丘から様子を見守っていた市内の60代女性は「橋を見ると10年前の地震の怖さを思い出し、記憶を風化させてはいけないと感じる。ロープでの救助訓練は初めて見たが、緊迫した様子で手早く行方不明者を救助していてすごかった」と訓練に見入っていた。

 伊藤代表取締役は「崩落した橋の上は垂直ではないので、本番さながらの訓練を行うことができる。この場所を会場にすることで、ロープ技術の共有とともに、訓練を見学した方や参加した人が地震の記憶を忘れないでほしい」と話していた。

 訓練は9日も行われ、一般市民も見学できる。

momottoメモ

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