一関・平泉

防災教訓次代へ 親子ら災害遺構見学 岩手・宮城内陸地震10年

震災遺構などを見学し岩手・宮城内陸地震の被害や土砂防災について学んだ震災復興ツアー

 岩手・宮城内陸地震の記憶を風化させない取り組みとして、震災復興ツアー(東北森林管理局、一関市、県南広域振興局主催)が16日、同市厳美町地内で行われた。市内の親子連れら32人が参加し、当時の被災状況の講話を聞くとともに旧祭畤大橋などの災害遺構を見学した。参加者は大地震の爪痕を目にして記憶を語り継ぐ決意を新たにした。

 同市などは同地震から10年目に当たり、大規模な土砂崩壊や土石流発生リスクなど地域生活を一変させた大地震の記憶が薄れつつあるとして、風化させない取り組みの一つとして企画。同地震を知らない子供たちと保護者ら経験世代との交流を通じて語り継ぎ、防災意識を高めようとツアーを開催した。

 同日のツアー一行は、同市狐禅寺の北上川学習交流館あいぽーとから同市厳美町に向かい、骨寺村荘園交流館で講話を聴いた。この中で当時家族10人で避難した佐藤直樹さんは、地震発生当時の家族の様子や地域の被災状況、避難所での生活についてスライドを見せながら説明。落橋した祭畤大橋を初めて見た時の印象について「(橋が落ちるとは)思っていなかった。まるで映画の中にいるようだった」と語った。

 さらに2008年11月30日に現在の祭畤大橋仮橋が開通し、全員で自宅に帰った時については「見た瞬間は感無量だった。その前からみんな泣いていたけれど…」と振り返った。

 大地震の被害や避難者の状況、災害への備えなどについて講話で学んだ後、磐井川が河道閉塞(へいそく)された市野々原地区と旧祭畤大橋のある祭畤地区の2カ所の災害遺構を見学した。

 見学では、砂防ボランティア県協議会(野中聡会長)の会員らが、メカニズムや被害の発生、復旧について丁寧に解説した。祭畤大橋落橋については「秋田側から11メートル押された。岩手側は4、5メートルだったためゆがめられた」と説明。参加者は、折れ曲がった状態で遺された橋や見学通路脇の亀裂、大きく湾曲した道路面にじっと見入っていた。

 同市花泉町から参加した小野寺奏音さん(涌津小6年)は「災害のことを知り、他の人も自分自身も守れるようにしたい。落橋した時に誰もいなくて良かったと思った」、鈴木睦奈さん(同4年)は「今まで知らなかったことも教えてもらった。祭畤大橋は学校で新聞の写真を見たことがあるが、実際に上から見たら結構下までは深かった」と話していた。

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