花巻

光太郎が見た情景再現 きょうから企画展 「花巻電鉄」との関わり紹介

企画展でメインのジオラマ。華やかだった花巻の情景を伝えている

 花巻ゆかりの詩人で彫刻家の高村光太郎(1883~1956年)と運行されていた路面電車の「花巻電鉄」の関わりなどを紹介する花巻市太田の高村光太郎記念館(藤原睦館長)の企画展「光太郎と花巻電鉄」は、14日から同記念館で開かれる。当時の花巻の面影を伝えるジオラマも公開。光太郎が暮らし、路面電車が走る往時の花巻の情景を感じられるとして多くの来館を呼び掛けている。

 太平洋戦争で花巻に疎開した光太郎は、終戦直後から約7年間、旧太田村山口で小屋で暮らし住民らと交流を深めた。当時、光太郎が買い物や静養先の温泉に向かう移動手段として利用したのが花巻電鉄。企画展では、光太郎が訪れた市内各所をジオラマや絵はがきなどで紹介しながら電車が走る華やかだった花巻を今に伝える。

 メインの「花巻電鉄ジオラマ」は東京都品川区在住の自営業石井彰英さん(62)が制作。石井さんが2017年に制作したジオラマで光太郎の妻智恵子が入院した病院が取り上げられたのを知り、同記念館を運営する花巻高村光太郎記念会がジオラマ制作を依頼。高村光太郎連翹(れんぎょう)忌運営委員会代表の小山弘明さん(53)が監修した。

 幅1・8メートル、奥行き1・2メートルで、▽市街中心部▽賢治詩碑付近▽花巻の温泉▽高村山荘-の四つのテーマで構成。花巻町役場や鳥谷崎神社、商店街、花巻温泉、花巻南温泉峡の温泉施設、山口小学校など約70の建物や約520体の人物などのミニチュアが配置され、間を電車が駆け抜ける。

 花巻電鉄は「馬面電車」と呼ばれる細い車体がシンボル。東北初の電化路線として1915(大正4)年に鉛線の一部で運行が始まり徐々に延伸。72年に廃止されるまで住民の移動を支えた。

 花巻の繁華街や温泉などに訪れる際に光太郎も利用していたといい、荷物を手に電車に乗り込む映像を常設コーナーで見ることができる。

 同記念会事務局企画担当の高橋卓也さんは「光太郎は山荘で寂しく暮らしていたのでなくいろいろな所に足を運び、人々と交流していた。ジオラマを見て、華やかだった花巻の情景、光太郎の足跡を広い世代の人たちに感じてもらいたい」と話している。

 企画展は11月19日までで、開館時間は午前8時30分~午後4時30分。入場料は一般350円、高校生・学生250円、小中学生150円。問い合わせは同記念館=0198(28)3012=へ。

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