「EV人財」育成へ 一関高専 来月からコース開始 基礎から実践学習
一関工業高等専門学校(吉田正道校長)は、8月から「EV(電気自動車)人財育成コース」を開始する。厚生労働省の地域創生人材育成事業に本県が採択されたのに伴い、事業委託を受けたため。23日に一関市萩荘の同校でキックオフミーティングが行われ、関係者が県内における次代自動車産業の人材輩出に向けて結束を図った。期間は2020年度末まで。
厚労省に採択された県の事業は「超『人手不足』への対応が求められているものづくり分野等における人材の育成・確保」。その中で行われる五つの人材育成事業のうち、同校は「EV人財育成コース」を担当して学生や社会人を訓練する。
同コースは▽いわてEV(8~10月、10回)▽いわてEVミニ(8~11月、2回程度)▽次世代トランスポーテーションR&D(10月~翌年3月、24回)-の三つのアカデミーで構成され、一関高専教職員や企業技術者らが指導する。一関高専で学生らに開かれる教育講座「いわてEVアカデミー」と、工業高校や産業技術短期大学校などで生徒らに行われる出前講座「いわてEVミニアカデミー」では、EVエンジニア育成用教材「PIUS(ピウス)」を用いた実習を通じ、自動車の基礎構造や技術などを学ぶ。
「次世代トランスポーテーションR&Dアカデミー」は、EVアカデミー受講者の研究や試作開発力の向上を目指した実践的講座で、テーマ別に共同研究が行われる。
キックオフミーティングには一関高専の職員と学生有志、県や市、県内の連携教育機関、企業などから約40人が出席。同コースの概要について、PIUSを開発した同市字沢のモディーの菊地重人公共ビジネス課最高執行責任者(代表取締役代行)らが説明。PIUSを使った未来創造工学科1年のものづくり実験実習が公開された。
吉田校長は「官民一体となった事業。自動車産業で日本はトップレベル。世界を引っ張る人材をこのアカデミーから輩出したい」、県商工労働観光部ものづくり自動車産業振興室の瀬川浩昭室長は「県南の北上川流域は最先端のものづくり企業が集積している。真摯(しんし)に取り組む姿勢も評価されている。学生には岩手で最先端の生産技術や開発を学んでほしい」と期待していた。