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5G活用で産業振興 岩手大、ドコモが連携協定締結 マスや鶏 品質向上図る

連携協定に調印し握手を交わす岩渕学長(左)と吉澤社長

 岩手大(盛岡市、岩渕明学長)とNTTドコモ(東京都、吉澤和弘代表取締役社長、以下ドコモ)は25日、ICTを活用した地域創生の推進に関する連携協定を締結した。同大の研究成果と、同社の次世代移動通信システム「5G」や各種ICTツール・サービスなどとを組み合わせた産業振興や最先端技術の開発、人材育成に取り組み、地場産業の活性化を図る。

 協定は同大が参画する「ドコモ5Gオープンパートナープログラム」をベースに取り組みを推進。5Gは「第5世代」の移動通信方式とされ、高速・大容量の伝送技術に加え、多数の端末を同時に接続できるなどの特徴がある。遠隔での機械操作や高精細映像の配信などへの応用が期待され、2020年に実用化される見通し。

 具体的には同大が釜石市にある同大三陸水産研究センターで進めるサクラマスの陸上養殖の研究や、ブロイラーの成長促進に最適な鶏舎内環境条件の解明による養鶏育成率向上の研究などに、ドコモのICT技術を活用する方向で検討中。

 サクラマスの陸上養殖に関しては盛岡市の同大上田キャンパスから遠隔管理システムを構築して固体管理や異常早期検知、給餌適正量管理などのデータ蓄積や解析を行い、養殖のノウハウを確立し、品質向上や生産性向上を目指す。

 ブロイラーの成長促進に関しては多数のIoTセンサーを活用し鶏舎内の温度や湿度、二酸化炭素、生育状況などを遠隔監視・制御することで最適な生育環境を整備し、養鶏育成率向上の実現に取り組む。

 このほかICTを活用した産業動物診療データのリアルタイム伝送による遠隔診療システムの構築、遠隔学習環境の構築による人材育成と大学内外組織の交流の促進なども検討している。

 連携協定の締結式は同日、同大で行われた。岩渕学長は「ICT技術を使いながら研究した結果、地域が良くなるというような取り組みのスタートを切ることができた。学生にとっても良い刺激になる」と語り、同大の卒業生でもある吉澤社長は「ICTを活用して社会的課題を解決する、新しい産業を創出することを使命として感じている。(岩手の)強みである1次産業の分野で一緒に取り組めるのはうれしい」と述べた。

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