北上・西和賀

東京製綱が新工場 北上市と立地調印 研究開発、生産拠点に

調印後、協定書を掲げる佐藤社長(右から2人目)と髙橋市長(中央)

 炭素繊維複合材ケーブルなどを製造する東京製綱インターナショナル(本社東京都中央区、資本金1億円、佐藤和規代表取締役社長)は30日、北上市内で新工場の開所式、市との企業立地調印式を行った。海外で同ケーブルの市場開拓が進み需要が見込まれるため、北上工場を新設。愛知県蒲郡市の工場の研究開発部門を北上に集約する。北上を開発機能を持った生産拠点工場と位置付け、蒲郡分工場との国内2体制で量産拡大を図る。

 同社は東京製綱100%出資の子会社で、海外事業の成長戦略を担う。北上市では北上工業団地に立地するグループ社・東綱スチールコードの工場隣接地に新工場を建てた。

 東京製綱インターナショナルは、北上工業団地に3・3ヘクタールの土地を取得。新工場は鉄骨造り平屋建てで、延べ床面積8688平方メートル。

 2016年に閉鎖した東京製綱子会社の産業用機械工場を活用し、取得した敷地に新工場を建設。2・5棟分で生産ライン、研究施設の技術センターを立ち上げた。設備投資額は約15億円。既に稼働を開始し、8月下旬ごろから新製品を納入する。

 佐藤社長は北上立地の理由に、1970年の東綱スチールコード立地以来、半世紀近くの歴史を踏まえ「北上市と強い信頼関係があり、人材も優秀な方が多い。いろいろな意味で安心感、メリットがある」と説明。「海外には日本に比べ相当規模の需要があり、万全な供給体制をつくる中で中核となる北上工場を竣工(しゅんこう)した」と述べた。

 稼働当初の従業員は蒲郡分工場からの異動を含め35人ほど。今後市内、県内で新規採用し、最終的には60人程度の従業員を確保する計画。

 北上工場の年間生産能力は約3500キロメートルで、蒲郡分工場と合わせ6000キロメートル規模となる。2020年ごろには北上で5000~6000キロメートル規模を視野に、新工場棟建設も検討している。

 同ケーブルは高圧送電線の芯材やコンクリート補強材などに使用。米国やロシア、インドネシアをはじめ東南アジア、ブラジルを含む中南米など約20カ国に供給している。炭素繊維と熱硬化樹脂を複合化、成形した新たな構造用補強材として今後、新興国などで需要拡大が見込まれる。

 市役所での調印式で、髙橋敏彦市長は「世界で唯一の技術を発信する意味で、われわれも誇らしい。世界にはばたけるよう一層サポートさせていただく」と歓迎。佐藤社長も「東京製綱が当時最先端の技術で北上に工場を稼働し、今回また当社最先端の製品を製造でき北上市との強い縁を感じる。北上工場を最大限稼働して世界に製品を供給し、地域活性化に貢献したい」と決意を述べた。

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