花巻

台温泉の100年前 今に 藤井さん(湯本)が鳥瞰図入手【花巻】

藤井さんが入手した「陸中臺温泉鳥瞰」図(一部拡大)。郵便局や現在につながる宿泊施設名などが読み取れる

 花巻市湯本の団体職員藤井千三さん(68)が、1916(大正5)年に発行された「陸中臺(だい)温泉鳥瞰(かん)」図を入手した。長い歴史を誇る花巻・台温泉の約100年前を今に伝える絵図で、市博物館所蔵の物とは細部が異なる貴重な資料。作者は謎が多く幻の絵師とも称される松井天山(本名・松井哲太郎)で、天山研究の視点からも重要な1枚とみられる。

 鳥瞰図は縦約47センチ、横約64センチ。現在の同市湯本~台を東方面から俯(ふ)瞰し、温泉地の全景を描いている。発行から約1世紀を経ながらも保存状態は良好で大きな破れや欠失もない。縦横に走る折り目跡や博物館所蔵版に付属する外袋の大きさなどから、湯めぐりを楽しむ観光客の携行用に利用されていたとみられる。

 興味深いのは、鳥瞰図左下に記載されている案内文の内容。乗合馬車の運賃(花巻停車場-台温泉間)が藤井さん版は上り30銭下り25銭とあるのに対し、博物館版は上り25銭、下り20銭と記載されている。印刷年による事情や季節に応じた変更などが考えられそうだ。

 また、図の枠外左下には「著作(中略)仙台市東三番町百番地松井哲太郎」とあり、絵師・松井天山の作と判断できる。謎の多い天山だが、100年以上前に、どういった経緯で花巻の仕事を受けたかも分かっていないため、専門家の研究が待たれる。

 県外の収集家を通じて鳥瞰図を入手したという藤井さんは、地域に関連した古い写真絵はがきなども集めている愛好家。「天山が台温泉を描いていたというのが素晴らしいし、美しく、見て楽しい鳥瞰図。写真絵はがきと看板などが一致しており興味は尽きない」などと話し、博物館への貸し出しなど、研究や有効活用に協力する意向を示している。

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