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企画展「衣装と意匠―武家のよそおい」 オートクチュールの数々 もりおか歴史文化館

武家の女性がまとった振り袖や打ち掛け
盛岡藩南部家に伝わる陣羽織の数々

 安土桃山時代や江戸時代の武家の衣服を紹介する企画展「衣装と意匠―武家のよそおい―」は、盛岡市内丸のもりおか歴史文化館で開かれている。豪華で華やかな陣羽織や能装束の唐織、礼服のかみしも、武家の女性がまとった打ち掛けや振り袖などが来館者の目を楽しませている。9月24日まで。

 企画展では、盛岡藩主南部家由来の衣服を中心に同館所蔵の51点を展示。江戸時代は官位や家格、儀礼、季節、さらに女性は年齢や未婚・既婚など身分や家柄によって装いが定められ、決まり事にのっとりつつも、好みに応じた色や文様の布地を用いた衣装が作られていたという。

 中でも初代盛岡藩主南部信直が使ったと伝えられる「白天鵞絨地(しろびろうどじ)陣羽織」は毛足の長い舶来のビロードが豪華で華やかな印象を与える作り。ボタンで裾と袖の着脱が可能な陣羽織は、生地に赤い色を出すために使われる南米産コチニール染料で染めた毛織物「羅紗(らしゃ)」を生地に用い、ボタンは水牛の角で作られている。

 紺地に寿の文字、不老長寿の果物である桃、万年茸(だけ)をかたどった霊芝雲など宝尽くし・吉兆文様で埋め尽くした唐織は、5代藩主南部行信が5代将軍徳川綱吉の前で能「三井寺」を演じた時に着用したと伝えられる能装束。

 紫のちりめん地に金糸で双舞鶴紋を五つ付け、身丈半分から下に「曲水(ごくすい)の宴」の風景が細かく友禅染と刺繍(ししゅう)で絵画風に表現された打ち掛けは、人物の顔に綿を入れて凹凸を表したり髪の毛を一本ずつ刺したりするなど職人の念の入れようや技術の高さがうかがえる。

 将軍の御台所、大名家の正室と姫君など身分の高い女性に着用が限られていた「堤帯(さげおび)」、子供用に作られたかみしもや水干(すいかん)などの着物、産着、藩主のかみしもの寸法を記録した文書なども紹介。陣羽織の着用も体験できる。

 企画展を担当した同館の太田悌子主任学芸員は「流通品ではなく職人の技術が詰まった一点物のオートクチュール。衣装の形や素材、色、模様などを一つ一つ見てほしい」と話している。

 入館料は一般300円、高校生200円、小中学生100円。時間は午前9時~午後7時。

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