北上・西和賀

二子さといも GI登録 県内4例目 高まる地元の生産意欲【北上】

二子さといもの出荷に向け行われている選別作業=JAいわて花巻北上地域二子さといも選果場、9月6日

 農水省は27日、農産物などの名称を知的財産として国が保護する地理的表示(GI)法に基づき、北上市特産の「二子さといも」をGI登録した。登録は県内で4例目。申請していた同市の二子さといも協議会(小原富美雄会長)は登録を喜ぶとともに、ブランド力の強化に向け生産・出荷管理体制の充実や知名度向上などに一層努力する方針だ。

 登録に向けた推進団体として生産者や行政、JAいわて花巻などの関係機関・団体で2017年6月に同協議会を結成し、8月に国へ申請した。登録を受け、同協議会に加入する市内農家(現在134戸)に限って「二子さといも」の名称を使っての出荷が認められる。

 二子さといもは、品種改良せず同市二子地域で古くから栽培されてきた在来系統の品種(赤茎)で、強い粘り気と味の濃さ、滑らかな食感が特徴。地元での人気は高く、例年9月初旬に出荷が始まる。市場での評価も高く、同時期に出荷される他産地品に比べ2倍近い高値で取引されている。市によると、17年度は市内約130戸の農家が農協や市場に約200トン出荷した。

 登録によって製品へのGIマーク付与が義務化されることから同協議会は今後、包装資材等へのGIマークの付与やパンフレットの刷新などで知名度向上に取り組む。

 小原会長は「申請から随分時間がかかったが、登録されてうれしい」と喜び、「研修会などを通じて意識を高め、ブランド力を高められるよう生産者は品質の維持、向上に一層努力する必要がある」と気を引き締めた。藤枝剛市農林部長は「登録により国も認める名産となったことで、地域の誇りとして伝承されていくことにうれしく思う。登録を機においしさを全国に知ってもらい、もうかる農産物として担い手に産地を継承してもらえることを期待する」と歓迎した。

 農水省によると、県内では前沢牛(奥州市前沢)と野田村荒海ホタテ(野田村)、岩手木炭(本県)が既に登録されている。


GI保護制度 地域で育まれた農林水産物や食品のうち、産地の風土や伝統製法などと品質特性との結び付きが認められ、一定の品質基準を満たす産品を知的財産として認定し、保護する制度。登録されると、専用の登録マーク(GIマーク)の使用が認められる。行政が不正使用を取り締まるため訴訟などの負担なくブランドが保護され、他産地との差別化が図られるなどのメリットがある。

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