奥州・金ケ崎

潜伏の長英に焦点 11月まで記念館企画展 写本展示、パネル紹介【奥州】

宇和島潜伏時代の高野長英を紹介する企画展「欧米列強の足音」

 高野長英記念館(渡辺唱光館長)の秋の企画展「欧米列強の足音 長英と宇和島」は、奥州市水沢の同記念館で開かれている。1年足らず潜伏していた宇和島藩(現愛媛県宇和島市)での長英の仕事ぶりが垣間見られる資料を紹介している。

 長英は1848(嘉永元)年、「幕末の四賢侯」として知られる第8代藩主伊達宗城の招きを受け、蘭学者伊東瑞渓としてひそかに同藩に入った。

 同藩では蘭学塾「五岳堂」を開き、蘭学教授や「砲家必読」などの翻訳に努めた。今回の企画展は宇和島時代の長英にスポットを当てた。

 展示資料は、歩兵、騎兵、砲兵の戦術・実戦技術書「三兵答古知幾(さんぺーたくちーき)」や、英仏両国の財政や軍備状況をまとめて宗城に献上した「知彼一助」、宇和島潜伏中に翻訳した「砲家必読」などの写本など15点。宇和島を離れた後に五岳堂の門人に宛てた書状は「天下の一大用は洋学」「この節、辺防の事は非常に急務」などと現代語訳され、長英が外国の知識を得ることや海岸防護が重要だと感じていたことがうかがえる内容となっている。

 また、壁面のパネルでは、石碑を斎藤實が揮毫(きごう)した高野長英居住之地跡など現在も愛媛県内に残っている長英の足跡を紹介している。

 同企画展は11月18日まで。期間中の10月2日~11月4日には、1996年に国の指定を受けた重要文化財のうち14点を公開する。

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