煤孫ひな子剣舞 全国へ 東北から唯一出演 来月24日 東京で民俗芸能大会【北上】
北上市和賀町の煤孫ひな子剣舞保存会(武田正雄会長)は、11月24日に東京都の日本青年館ホールで開かれる第67回全国民俗芸能大会(同館など主催)に東北地方から唯一出演する。久々の県外での大型公演は、特色ある郷土芸能を広く知らしめる絶好の機会。地元小学生を含む保存会員が成功を期して練習を重ねている。
同大会は全国各地の民俗芸能を舞台で披露し、貴重さや重要性を認識してもらおうと開かれている。同市の団体が選ばれるのは、2008年の大乗神楽4団体以来。今年はほかに茨城、富山、宮崎各県の3団体が出演する。
保存会にはいわさき小学校の児童と成人のはやし方らの38人が所属。大会ではこのうち3~6年生を含む25人が、「坊主」や「六十三拍子」など6演目を披露する。
練習は町内の煤孫1区自治公民館で今月から週2回ほどのペースで取り組んでいる。
同校では3、4年生が総合学習などで毎年同剣舞を習得。煤孫地区以外の児童も継承者として期待されている。及川未夢さん(6年)は「初めてのことなので楽しみだが緊張もある。掛け声を大きくして踊ってきたい」と真剣な表情を見せた。
これまでは、1974年に全国放映されたNHK芸能百選への出演が最大規模だった。武田会長(71)は「せっかくの大舞台で、子供たちが練習の成果を披露する良い機会。一生懸命努めたい」と本番を見据えた。
煤孫ひな子剣舞 慈覚大師円仁が嘉祥3(850)年に布教で煤孫を訪れた際に伝えたとされる。女児を中心とした静かな舞で、左腕を切り落として達磨大師に入門を願った僧慧可の伝説にちなみ、片手を中心とした振り付けが特徴。11演目が伝わり、相互扶助組織の契約会による伝承を経て保存会が結成された。1989年に県の無形民俗文化財に指定され、2016年には文化財保護で文化庁から地域文化功労者表彰を受けた。