北上・西和賀

日常離れ、ゆっくりと 佐藤さん夫妻 1組限定の民宿オープン【西和賀】

1棟をまるごと使った民宿「Katasumi」の客室。佐藤靖さん(左)、裕子さん夫妻が開業した

 西和賀町沢内長瀬野に、1回1組限定の民宿「Katasumi」がオープンした。佐藤靖さん(59)、裕子さん(56)夫妻が自宅を改装し、1棟をまるごと使った広い客室と朝食のみのシンプルなプランを用意。静かに過ごせる同町の魅力を前面に出し、県内外にアピールしている。

 客室はロフトを含め床面積約70平方メートルで、バリアフリー設計、床暖房完備。電磁調理式キッチンと家電一式、セミダブルのベッド二つを備える。クローゼットは一室ともいえる広さで、風呂場も1家族には充分なスペースとなっている。

 屋外にも木製のデッキや石畳があり、窓外に広がる自然の雰囲気を満喫できる。朝食はパンを中心に、自家採りの野菜類も提供していく考え。

 以前の家主は町外出身で、高齢の父母との同居のためついの棲(すみか)として設計。佐藤夫妻が暮らす母屋と渡り廊下で連結した構造や、高齢者にも優しい造りはこの名残り。家主は闘病のため転居せざるを得ず、空き家となっていた。

 佐藤夫妻は町内の宿泊研修施設で35年間住み込みで働き、2年前に退職。次の住家を探してこの住宅と出合った。靖さんは「これまでの仕事を無駄にせず、宿泊する人が満足できることをコンパクトに続けたい。1組限定なら全力投球できる」との思いを持っていた。

 昨夏から改装に着手し、今年10月に県から民宿の認可を受けた。一部に手は加えたが、「最初に建てた方の意図があってこその建築物。ここで暮らして嫌な思い出は何もなかったという気持ちを受け継ぎたい」と、今までの構造を最大限生かした。

 1組かつ朝食提供のみのプランだが、靖さんは「疲れていることにさえ気付かないほど多忙な現代。『ゆっくり過ごす』の中には、利用する人に本当に必要なことを用意する意味も含まれる」とし、日常生活を離れて利用する宿泊客のニーズを尊重。一方、長年同町で過ごした経験から「町内の観光スポットや飲食店も紹介する」と意気込む。

 靖さんは山形市、裕子さんは仙台市と、ともに町外の出身。人を引き付ける西和賀への愛着を、裕子さんは「暮らし、自然、人も好き」、靖さんは「良い暮らしをシェアしたい」と語った。

 宿泊料は1人1泊1万円だが、オープン記念として当面は3泊で2万4000円のプランを用意。電子メールを通じて申し込む。アドレスは次の通り。

 katasuminagaseno@gmail.com

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