ジャズと賢治詩融合 永訣の朝コンサート 演奏、朗読を堪能【花巻】
宮沢賢治作品をテーマに詩の朗読とジャズ演奏を楽しむ「永訣(えいけつ)の朝コンサート」(実行委主催)は10月27日、花巻市高松の宮沢賢治イーハトーブ館で開かれた。同市高木出身のジャズボーカリスト・下村瑞枝さんとピアニスト遠藤征志さん、宮沢賢治学会員で朗読の伊藤諒子さんが出演。会場には約150人が詰め掛け、ジャズと賢治詩が融合したステージを満喫した。
2012年に同市で開かれたイベントに遠藤さんが出演し、オリジナル曲「永訣の朝」を演奏したのが同コンサート開催のきっかけ。遠藤さんと16年にアルバム「LITTLE GIRL BLUE」を制作した下村さん、花巻弁で詩を読み上げる伊藤さんを迎え、賢治の妹トシに思いを寄せようと企画された。
ステージは3部構成。第1部では「酒とバラの日々」「枯葉」といった曲が奏でられ、第2部では遠藤さんの「永訣の朝」演奏や伊藤さんの朗読が披露された。第3部ではジャズ・スタンダードに賢治の「星めぐりの歌」も交え、聴衆から盛んな拍手が送られていた。
コンサート実行委代表でオフィス風屋(同市南万丁目)の北山公路さん(58)は「花巻出身の下村さんや遠藤さんの『永訣の朝』があって、これに朗読を付けるというコンサートの形ができた。演奏も朗読も素晴らしく、聴いていたら涙が出てきた」と感激の面持ち。下村さんは「きょうは賢治さんの世界観も意識した選曲をした。生まれ故郷でコンサートができて感慨深い」と、にこやかに振り返っていた。