過去と現在 小径でつなぐ 藤沢・大籠千松地区 「モリコの山」整備完工【一関】
一関市藤沢町大籠の千松地区の山林で、住民らが進めてきた「モリコの山」の環境整備が完工した。2011年から石碑の移設、鳥居や石段の整備、歌碑の建立などを段階的に行ってきた。27日には最終工区で関係者が「もりこの小径(こみち)」の完成に立ち会って、施工に尽力した山主の佐藤基一さん(72)一家の労をねぎらい、共に完工を祝った。
モリコの山は千松自治会館に隣接する山林の通称。石碑がまつられ、かつてはどんと祭が開かれるなどしてにぎわったというが、人足が途絶えて雑木が茂り荒れ放題となっていた。環境整備は同会館の新築をきっかけに構想され、その後に佐藤さんが山主になったことで本格化した。
もりこの小径は、4月に建立した歌碑と16年3月建立の歌碑を結ぶ区間に整備。一つには製鉄で栄えた永禄年間とキリシタンの弾圧が厳しくなった寛永年間を、もう一つには石碑3基にまつわる明治以降の歴史のほか、神楽の伝承などを、佐藤さんが歌に詠んで刻んだ。
同日は二つの歌碑に刻んだ地域の過去と現在をもりこの小径でつないで完工という趣向。自然の景観になじむように小石を交ぜて舗装し、木製の案内柱を立てた。
佐藤さんは妻と息子の一家3人で一連の施工に励んできた。完工に当たって「皆さんの協力があってこそ。ありがたい。それが一番だ」と話し、感慨深げだった。
立ち会った千松自治会の畠山甲子義会長も佐藤さん一家の労をたたえ「千松地区の入り口にふさわしい景観が整備できた。これからソフト面でどのように住民のよりどころとして盛り上げていくか。みんなで考えていきたい」と喜んだ。