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個性際立つ器150点 県立美術館企画展 18カ国の陶芸家作品【岩手】

グイン・ハンセン・ピゴット「静物」(1992年)=滋賀県立陶芸の森陶芸館蔵

 盛岡市本宮の県立美術館で、世界18カ国の80人を超える陶芸家の作品150点を集めた企画展「うつわドラマチック展」が開かれている。陶芸で光と影の美しさを表現した作品や、焼成の窯の中で起こる釉薬(ゆうやく)のひび割れや流れる様子をポップな色使いで表した作品など、多彩な表現が多くの来館者を楽しませている。20日まで。

 器は日常の生活用品として古代から作り続けられてきたが、20世紀に入ると芸術作品として見るために作られた器が登場する。

 企画展では滋賀県立陶芸の森陶芸館で開かれた展覧会を基に、9章構成で西洋と日本の作家を中心に戦後に発展した陶芸表現の多様性を紹介する。

 1、2章では器の大量生産が行われる中、比較的個性的な器の表現が展開した国である英国と米国に焦点を当てた。

 英国の章では日本で陶芸を学び素朴で温かみのある益子焼にも通じるようなバーナード・リーチ(1887~1979)の大皿や大壷、素朴ながらも都会的な建築にも似合うようなスタイリッシュなフォルムが特徴のルーシー・リー(1902~1995)の花器や鉢が並ぶ一方、器という機能性から大きく逸脱し自立しないつぼや、色や形の面白さを追求した作品、日常生活では使わないような巨大な作品なども登場する。

 欧米で最もなじみが深い器であるティーポットだけを集めた章や、陶芸で静物画の世界を表現した豪州の作家グイン・ハンセン・ピゴット(1935~2013)にスポットを当てた章、「北欧の作家」と銘打ち陶磁器メーカーのプロダクトデザイナーとしての仕事と陶芸作家としての仕事を対比して紹介する章、日本の作家だけを集めた章など多彩な展開で器の魅力を紹介する。

 1日は、展覧会出品作家の桑田卓郎さんを迎えてのスペシャルトークや実演を予定している。

 同館の根本亮子主任専門学芸員は「器という一つの制約がある中での表現の多様さを見てほしい」と話している。

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