車間距離保持義務違反が倍増 県警 物損事故増加も別要因 東北道花巻南IC―盛岡南IC間
東北自動車道花巻南IC(インターチェンジ)-盛岡南IC間の最高速度時速110キロへの引き上げ試行から、1日で1年が経過した。県警がまとめた試行開始から11月末までの同区間の交通事故発生状況によると、人身事故は重傷が1件と試行前より2件減少。物損事故は72件で試行前の46件を上回ったが、最高速度の引き上げに起因するケースは少なく、試行はおおむね順調に推移していると評価。県警は事故の詳細を分析し試行の効果を検証するとともに、さらなる引き上げについても検討する方針だ。
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最高速度引き上げは、警察庁の調査研究委員会の提言を受けた措置。両IC間の延長約30・6キロのうち流入部分など一部を除く区間で、普通乗用車や大型バス、排気量125㏄超のバイクなどの最高速度が、100キロから110キロに引き上げられた。大型貨物車などは時速80キロのままで据え置かれている。
県警によると、2017年12月1日の試行開始から11月末までの交通事故件数は73件(試行前との比較で24件増)と大幅に増えた。人身事故は、10月7日早朝に紫波IC-盛岡南IC間上りで発生した大型バイクの単独衝突事故1件。死亡事故はなかった。
物損事故は72件(同26件増)と大幅に増加。試行当初は最高速度引き上げによる追突、進路変更時の接触などの車両相互事故が懸念されていたが、発生件数は13件で試行前と同じだった。
車両単独事故は59件(同26件増)で倍増したものの、前方不注視をはじめ、動物や落下物との衝突、飛び石によるガラス破損などを要因とした事故が多く、最高速度引き上げとの因果関係はほとんど見られなかった。
速度超過の検挙数については、最高速度が引き上げられたことで345件(同385件減)と減少した。このほか、車間距離保持義務違反125件(同115件増)、通行帯違反86件(同59件増)、その他407件(同123件増)を摘発した。社会的に関心が高まっている「あおり運転」の防止を重点にしたことにより、車間距離保持義務違反や通行帯違反の摘発が増えたという。
試行は今後も継続される。県警高速隊の三浦義明副隊長は「試行前は大きな事故の懸念もあったが、大過なく推移している。今後も取り締まりを含め、安全確保に努める」としている。