一関・平泉

一関高専が技術賞 廃炉創造ロボコン 操作性、後処理に工夫

廃炉創造ロボコンに出場した一関高専。機械技術部チーム(前列3人)が技術賞を受賞した

 東京電力福島第1原発の廃炉作業に役立つアイデアと技術を競う第3回廃炉創造ロボコン(15日、福島県楢葉町)で、一関市の一関工業高等専門学校が技術賞(日本原子力研究開発機構理事長賞)を受賞した。一関高専の入賞は2年連続で、高い技術力を示した学生たちは入賞を喜びつつ、ものづくりへの思いを新たにしている。

 競技は、炉心から溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出しを想定。遠隔操作で、中が見えない原子炉の支柱部分に管を通してロボットを送り込み、3・2メートル下にあるデブリに見立てたボールを回収する。10分以内にボールを回収して、スタート地点に戻ってきたらクリアとなる。

 大会には16チームが出場。一関高専からは機械技術部、藤原研究室Bの両チームがエントリーし、機械技術部が技術賞に輝いた。

 同部のメンバーは、いずれも4年でリーダーの佐々木新平さん(制御情報工学科)、及川裕介さん(同)、菅原光さん(電気情報工学科)の3人。ロボット「EnterZEN(エンターゼン)」で大会に臨んだ。

 エンターゼンは親機と子機に分かれ、親機が子機を輸送。子機はタンク型になっており、内蔵カメラの映像を確認しながらボールの回収を行った後、親機がつながっているLANケーブルを巻き上げて炉心内から引き戻す。

 3人は2017年に福島県を訪れて原発を見学。ロボットの設計には大会ルールに縛られず、ニュースの情報などを参考にしながら実際の原子炉内での操作や廃炉へのメリットも考慮されている。

 簡易な構造の子機は、「核燃料を回収したら、そのままロボットごと捨てられるように」という狙いがある。親機には両脇のほかに下部にも無限軌道が取り付けられ、佐々木さんは「実際の原子炉内は障害物が多い。下部に付けることで、その障害を乗り越えられるようにした」という。

 藤原研究室Bチームは入賞を逃したが、藤枝幹太さん(機械工学科5年)は「(機械技術部の)アイデアはすごかった。味方であり、ライバルでもあるので悔しい気持ちもある。もっとロボットを進化させたい」と刺激を受けた様子。

 入賞にも佐々木さんは「時間オーバーでクリアできなかった。戻ることができればもっと上にいけた」と納得はしていない。来年の出場は後輩に譲るといい、「自分たちの技術とデータを後輩に引き継ぐので、次は絶対に優勝してほしい」と願っている。

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