4度目のレース中止 岩手競馬 禁止薬物5頭目 盛岡在厩馬で初
県競馬組合(管理者・達増拓也知事)は26日、岩手競馬の競走馬1頭から新たに禁止薬物(ボルデノン)が検出されたと発表した。今回は初めて盛岡競馬場在厩(きゅう)馬から発覚し、陽性馬はこれで5頭目。同組合は30日~2019年1月7日のレースを中止する。禁止薬物による中止は今シーズン4度目の異常事態。同組合では、原因究明と再発防止策の徹底を図り、水沢競馬場での特別開催の春競馬となる来年3月23日から5日間のレース再開を目指す方針も示した。【2面に関連】
同組合によると、今回発覚した陽性馬は、ネイチャーサムソン号(牡2歳、晴山厚司厩舎)。同馬は11月22日に日本中央競馬会(JRA)からの転入馬で、翌日に実施した事前検査では陰性だった。
今月17日の水沢競馬第1レース(サラブレット系、一般、ダート850メートル)に出走し、8頭立ての3着に入った。本来は1、2着から検体を検出しているが、再発防止対策の取り組みの一つとして、裁決委員が指定馬として抽出検査を実施し、24日に陽性の検査結果が判明した。
「単年度収支均衡」が存続の絶対条件となる収支状況について、今回のレース中止による損失は1億7000万円で、来年3月の特別開催も中止となった場合は計2億3000万円の損失と報告。その上で同組合は、精査中として具体的な数字は示さなかったものの、仮に3月まで中止となった場合でも黒字は確保できると説明した。
これまで発生していなかった盛岡競馬場の在厩馬からの発生により、同組合では一連の禁止薬物陽性馬が発生した問題について、故意的な可能性が高まったとし、競馬法違反の疑いで県警に刑事告発を検討していることも明らかにした。
岩手競馬では7、9、10月のレースに出走した計3頭から禁止薬物が検出され、11月10~12日のレース中止を決定。さらに、2頭の競走馬から禁止薬物が検出された高橋純厩舎が管理する全10頭を検査した結果、新たに1頭から検出され、17~19日の水沢競馬場のレースを中止にし、原因究明を待たずに24日に再開した。
同組合は盛岡、水沢両競馬場への監視カメラ増設や24時間の警備員配置、関係者による見回りなど再発防止策を強化してきた。レース再開の時期や判断状況などは示さなかったものの、3月の再開に向け盛岡、水沢両競馬場の出走馬について、事前検査を実施するとしている。
同組合の内宮明俊副管理者は「ファンや競馬関係者、構成団体、県民に申し訳なく、おわびのしようもない。組合員と厩舎関係者が一丸となって公正な競馬を提供できる態勢を構築したい」と陳謝した。
県競馬組合議会の田村誠議長は「残念な結果となった。3月の開催に向けて万全の態勢を取り、馬資源の確保も考えながら、関係機関と連携して早期開催へ取り組んでもらいたい」と述べた。
達増拓也知事 極めて深刻な事態と受け止め、ファン、競馬関係者、県民の皆さまにおわびする。今回、盛岡競馬場の在厩馬から発生したことで一連の陽性馬発生の原因が岩手競馬を標的とした故意的なものである可能性が高まった。一日も早く原因を究明するため、警察捜査に全面的に協力するとともに公正な競馬を提供できるよう、これまでにも増して強い危機感を持ち、厩舎関係者と職員が一丸となり全力で取り組む。
小沢昌記奥州市長 再度の開催取りやめを余儀なくされ、経営上、非常に厳しい状況に陥ったと認識している。
組合には、監視態勢に不備がないか改めて徹底的な検証を求めるとともに、人為的な要因であれば、カメラ画像の解析などにより捜査が進展することを期待する。