奥州・金ケ崎

ユーモア満載娯楽劇に 市民☆文士劇「風雲!たぬき城」 成功へ心一つに奮闘【奥州】

26、27日の舞台本番に向け、熱心に稽古に取り組んでいる第11回奥州市民☆文士劇のキャスト

 第11回奥州市民☆文士劇「風雲!たぬき城-里山を守り抜け!天下分け目の化け比べ-」は26、27の両日、同市江刺大通りの江刺体育文化会館ささらホールで計3回公演する。幕末の江戸を舞台に、タヌキやキツネたちが活躍するユーモアたっぷりの娯楽劇を展開。熱気あふれる稽古、大道具や小道具、舞台セットの製作など本番の成功に向けキャスト、スタッフ総勢150人が心を一つに奮闘している。

 同文士劇は「地域の元気を発信!」をコンセプトに、同ホールと実行委員会が主催し、エンターテインメント性の高いステージを例年展開。脚本は脚本家の道又力さん(盛岡市在住)、演出は長掛憲司さん(秋田県、わらび座)が務め、市民キャスト、スタッフ、生バンドのほか、作家高橋克彦さん(声での出演)、作家北上秋彦さん、奥州市議9人らのゲスト文士も参加を予定する。

 2018年10月13日の全体顔合わせ会を経て、キャストは同16日に同ホールで稽古を開始。おおむね週3回ペースで行われ、長掛さんの指導やステージ上での立ち位置、移動などの指示を受けながら、演技とせりふ回しの向上に励んでいる。

 殺陣や社交ダンス、太鼓演奏などの場面のほか、随所にコミカルな展開が盛り込まれた約2時間30分の舞台。主要キャストの「きぬた」を演じる鈴木里彩さん(21)=同市江刺南町=は「(観客は)笑いながら見ることができる舞台だが、つくる側は難しい。技術も表現力もレベルが高く、やることもいっぱいあるが、裏方も含め一丸で頑張っていく。きぬたの良いところでもある『めげずにいつも笑顔』を心掛けたい」と意気込む。

 一方、衣装・化粧、音響、照明など華やかなステージを支えるスタッフもそれぞれの持ち場で準備を進めている。大道具、美術、小道具のメンバーは5、6両日の舞台設営に向けて昨年11月から作業を本格化。各地の100円均一店から集めた大量のビーズなどを材料に華やかに仕上げたシャンデリア、振り子の動く大時計、色合いにも工夫を凝らしたキツネの像など一つ一つに魂を込め、製作に当たっている。

 メンバー最年長の後藤一郎さん(73)=同市江刺広瀬=は「道具は今までの作品より少ないが、それぞれこだわって作っている。そういうところも舞台で見てもらえれば」と語る。

 開演は26日が午後3時、27日は午前の部が10時30分、午後の部は3時。チケットは全席指定で前売り1500円(当日2000円、小学生未満は入場不可)。プロデューサー・舞台監督を務める実行委の高野誠司委員長(63)=同市江刺岩谷堂=は「ここ数年シリアスな作品が続いてきたが、明るいコメディーという新たな選択肢を取った。うまくいけば、文士劇の新たな世界観を広げられる。お客さんにも盛り上げていただきたい」と来場を呼び掛ける。問い合わせは同ホール=0197(31)1607=へ。

◆粗筋

 大狸(おおだぬき)といわれた徳川家康が、江戸幕府を開き約300年。江戸の森はタヌキたちが平和に支配を続けていた。黒船出現で、西洋列強に負けぬ国づくりへと薩摩、長州が手を結んで幕府に挑戦状をたたき付け、江戸の森でもタヌキ独裁を覆そうとするキツネたちの動きがあった。

 たぬき城家臣の娘きぬたは、人間界の戦況と里山の危機を亡き父に代わって城主に伝えようとするが、意地悪な継母たちのいじめに遭い、簡単にはかなわなかった。そんな時、江戸城無血開城の会談が西郷隆盛と勝海舟の間で開かれ、いったんは決裂したが、タヌキとキツネの知恵で無血開城は成し遂げられ、里山も守られることになった。

 きぬたはシンデレラストーリーのごとく、たぬき城の若君狸吉郎と結ばれることになり、里山にはタヌキやキツネたちがたたく盛大な太鼓の音が鳴り響くのであった。

地域の記事をもっと読む

奥州・金ケ崎
2024年5月7日付
奥州・金ケ崎
2024年5月7日付
奥州・金ケ崎
2024年5月7日付
奥州・金ケ崎
2024年5月7日付