奥州・金ケ崎

温かさ形に 羽根ピアス 西條創建のニホンキジ活用【奥州】

西條創建従業員と共にキジを手に、新作へのイメージを膨らませる伊藤さん(左)
伊藤さんが手掛けたキジのピアス。多彩な色合いで素材を最大限生かしている
デザイナー伊藤さん 養殖場訪問、生態学ぶ

 キジの飼育、繁殖事業に取り組んでいる西條創建(本社奥州市水沢福吉町、西條仁也社長)のニホンキジの羽根が、ジュエリーなどに活用されている。2018年には東京都のデザイナーが、同社の飼育したキジ羽根を用いたピアスを作製、発売した。このほか釣りの毛針にも利用されており、同社は今後幅広い活用につなげたい考えだ。

 同社は建設業を営む傍ら、09年から本格的にキジ事業に参入。猟友会から放鳥事業を請け負うとともに、18年には食肉処理、販売の許可を得ている。

 加工後のキジ羽根は8年以上経過しても変色、腐食はなく、同社は大量に保管。メスの羽根は、釣りの毛針としての注文があった。各種アクセサリーなど活用法を模索していたところ昨年、東京都渋谷区在住のデザイナー伊藤陽子さんからの引き合いがあった。

 伊藤さんは自然界で育まれる生物の素材を活用し、「呼吸するジュエリー『su Ha』」のブランドで売り出している。本県では久慈琥珀(こはく)を使った作品もある。ニホンキジを生産する事業者が全国的に少ない中、伊藤さんは在来種で加工しているキジの羽根確保へ奔走。インターネットで西條創建を知り昨年、同社から取り寄せたキジの羽根を使いフープピアス、フックピアスを手掛けた。

 今年は、生の現場を見て製品づくりに生かそうと9、10の両日、初めて奥州市江刺田原の同社キジ養殖場を訪問。従業員からキジの生態や毛並みについて学んだ。

 実際にキジの感触を確かめ「温かくて、子供の髪の毛みたいにつやつや。リアルに体温も感じられた。形になる部分は限られているが、より心を込めて温かさを形にして伝えたい」と、創作への意欲を新たにしたよう。「やはり日本人には、日本の羽根の色合いが似合う」と語り、秋に第2弾として新作のピアスとイヤリングをリリースしたい意向を示した。

 伊藤さんが昨年作製した第1弾のピアスを見て、同社の西條安吉相談役は「いろいろな発想で羽根の素材が上手に生かされていて見事。大変ありがたい」と目を細める。さらに「羽根を捨ててしまってはキジもかわいそう。キジの羽根にはいろいろな可能性がある。服飾、織物関係などにも幅広く活用できれば」と構想を語り、今後も引き合いがあれば応じていく考えだ。

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