花巻

“教え子”の生涯描く 「土に叫ぶ人 松田甚次郎―宮沢賢治を生きる」 27日、花巻で初上演

「土に叫ぶ人 松田甚次郎」のPRチラシ

 花巻出身の詩人、童話作家の宮沢賢治(1896~1933年)の教えを実践した、山形県新庄市出身の松田甚次郎(1909~43年)を描いた演劇が、27日午後2時から花巻市若葉町の市文化会館で上演される。新庄市の演劇関係者が賢治の古里で初めて上演する。花巻市の関係者は「演劇を通して松田甚次郎を知ってもらい、両市の交流の広がりにつながれば」と期待を込める。

 劇の題名は「土に叫ぶ人 松田甚次郎-宮沢賢治を生きる」。2015年度山形県民芸術祭の大賞受賞作。主催は新庄市の「“みんなで創る”地域ブランディング実行委員会」(近江正人委員長)。甚次郎を扱った演劇は同市で数回行われているが、県外公演は初めて。

 昭和初期の新庄を舞台に甚次郎の生涯を描いた演劇で、盛岡高等農林学校(現岩手大農学部)の在学中、賢治と出会って「小作人たれ」「農村劇をやれ」と教えられ、帰郷する。神社の境内に舞台を築いて演劇を上演するなど賢治の教えを忠実に実践する場面などが演じられる。

 新庄演劇研究会を中心とした演劇関係者とスタッフを合わせ約40人が来花する。劇中では花巻市立花巻小学校の児童4人と「イーハトーヴこども合唱団」に所属する市内外の児童8人が出演する予定。

 花巻公演は両市が初共催。両市の広報に賢治と甚次郎を紹介する共通ページを掲載するなどしてPRに努めている。入場無料で整理券を配布しており、花巻市によると、21日現在で両市合わせて約900枚が配布済みで、上演を間近に控えて同劇への関心が高まっている。

 市賢治まちづくり課の鈴木和志課長は「甚次郎を知らない人たちに劇を鑑賞してもらい、賢治と甚次郎の功績に理解を深めてもらいたい。劇をきっかけに両市の交流の広がりにも期待したい」と話している。

 整理券は市役所と各総合支所、なはんプラザ(同市大通り)で配布している。問い合わせは同課=0198(24)2111=へ。

松田甚次郎(まつだ・じんじろう) 盛岡高等農林学校の卒業前に賢治と出会い、賢治の教えを受けて新庄に帰郷。農村振興に励み、1938年に出版した実践録「土に叫ぶ」がベストセラーに。翌年に賢治の作品集「宮沢賢治名作選」を出版し、当時はまだ知名度が低かった賢治の文学を一般に広めた。過労による病気のため35歳の若さで亡くなった。

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