ILC実現へ 課題研究成果を共有 県立高6校、初の交流会【岩手】
北上山地(北上高地)への誘致実現を目指す次世代の大型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」をテーマにした課題研究に取り組む6校の県立高校の生徒による成果交流会が19日、盛岡市の県工業技術センターで開かれた。生徒たちは取り組みの成果を共有するとともに、ILC誘致に向け思いを新たにした。
ILCに関わる幅広い分野で活躍できる人材育成を目的とした県の「未来のILCを担う人材育成事業」の一環。2017年度からILCに関する課題研究などに取り組む県立高校をモデル校に指定し、互いの実践に理解を深めることで、今後の取り組みを発展させようと、今年度初めて成果交流会を企画した。
交流会には昨年度から指定を受ける盛岡一、花巻農、水沢、一関一、今年度指定を受けた水沢工、宮古商の生徒、教員ら約60人が参加。
高エネルギー加速器研究機構(KEK)施設を英語で紹介したほか、宗教にとらわれず比較的多くの人が口にできる羊肉を使いILCの形をしたソーセージの製造販売や、電子と陽電子の衝突を再現したILCの仕組みを可視化した装置の製作など、専門高校ならではの知識や技術を生かして取り組んだ普及啓発活動などについて発表した。
成果発表に続き、七つのグループに分かれて取り組んで良かったことや困難だったことなどを語り合い、花巻農食農科学科3年の菊池凜玖君(18)は「ILCという大きなプロジェクトは他人事ではなく、高校生も自ら活動していくことが大事だと思った。就職してからも学んだ知識や技術を生かしてILCに関わっていきたい」と語った。
県科学ILC推進室の植野歩未ILC推進課長は「発表を聞いて非常に刺激を受けるとともにILCの多様性を感じた。成果を後輩に伝え、今後の展開に生かしてほしい」と話していた。