伝統の担い手 躍動 北上 5団体が民俗芸能公演
北上市民俗芸能公演「みんなで知ろう~北上の民俗芸能~」は24日、同市本石町の日本現代詩歌文学館で開かれた。市内の5団体が田植踊や神楽、八士踊、鹿踊(ししおどり)を披露。北上の多彩な民俗芸能の魅力を発信した。
公演機会の少ない芸能団体に発表の機会を設け、活動活性化につなげようと市教委が主催し初めて開催。下藤根郷土芸能保存会、早池峰岳流更木神楽、横川目神楽保存会、立花八士踊保存会、行山流口内鹿踊が出演し100人以上が来場した。
各団体の踊り手たちは躍動感あふれる演舞を見せ、日ごろの稽古の成果を存分に発揮。初めに登場した下藤根郷土芸能保存会は、子供たちが笛や太鼓などに合わせて中野田植踊を披露した。
発表の機会は地元の諸行事の年2、3回といい、同保存会の菊池伸宏会長は「市全域での発表は初めてで貴重な機会になった。踊り手の子供たちが年々減っているが、長年先輩方が続けてきただけになくすわけにはいかない」と話し、石川真心さん(和賀東小学校6年)は「緊張したけど、みんなでいい発表ができた。やっていて面白いので、これからも続けたい」と声を弾ませた。
トークセッションでは、各団体の代表者らが実情を語った。「横川目小学校で神楽を教わった子たちが今は40、50代で踊っている。小学校統合で伝承が途絶えた」「踊り手が足りないのが一番の悩み」などの課題を挙げ、解決策として「地域では子供の頃から神楽をやっており、地元に戻ってきた人を誘っている」「ホームページやツイッターで公演、練習風景を発信している。北上以外の人とも盛り上げていきたい」とし、踊り手の募集をアピールしていた。
解説を務めた東北文化財映像研究所(同市)の阿部武司所長は「最大の課題は少子化。昔は地域だけでやっていたが、今は女性や地域外、市外から踊り手を加えて伝承している。市全体で郷土芸能に関心を持ってもらい、市民にも真剣に見てほしい」と呼び掛けた。