北上・西和賀

市民有志 舞台に彩り 西本智実さんプロデュース 来月3日、「蝶々夫人」【北上】

石井さん(左)の指導でコーラスに磨きを掛けるさくらバタフライ合唱団
踊りの稽古に励む幸の会

 世界的に活躍する指揮者西本智実さんがプロデュースするオペラ「蝶々夫人」は、3月3日に北上市さくら通りの市文化交流センターさくらホールで上演される。日本の伝統美と西洋音楽の融合が話題の公演で、北上公演には歌や踊りに取り組む市民有志団体が出演。本番が近づく中、地域一体となってステージを成功させようと各団体が練習を重ねている。

 西本さんプロデュースの同オペラは、これまで東京、大阪、京都で開催。地元の芸妓(げいこ)や舞妓が出演するなど地域色を生かした舞台としても注目を集めた。北上公演は同ホールの開館15周年記念の一環で、本県では初開催となる。

 本公演にも同市を拠点に活動する団体や本県出身者が多数出演する。地元団体では町歌舞伎の伝承に取り組む「黒沢尻歌舞伎保存会」、新舞踊「幸の会」、公演に合わせて発足した「さくらバタフライ合唱団」が出演し、舞台に彩りを添える。

 さくらバタフライ合唱団は、県内外の合唱愛好者46人が所属。オペラの経験がある石井芳雄さん(79)=一関市=らの指導を受け、コーラスに磨きを掛けている。出演するのは蝶々夫人が米海軍士官と結婚する1幕の場面で、16日の練習では物語の進行に沿って曲のテンポや声量、トーンを調整した。

 全編イタリア語の歌詞や音を覚えるためそれぞれCDを聴いたり、映像を見たりして研究を重ねているといい、石井さんは「プッチーニの曲はリズムに変動があり、表現するのが難しいがメロディーがとても美しい。合唱で物語を盛り上げたい」と意欲を示す。

 アルトの伊藤マヤさん(61)=花巻市=は「蝶々夫人と一緒に登場する合唱団は、来場者をオペラの世界に引き入れる役割を担っている。登場人物の一人として頑張りたい」と気合を入れる。

 幸の会は斎藤幸子会主を含む、会員11人が出演する。北上市の橋本かつら店の協力で華やかな衣装に身を包み、舞妓や芸妓に扮(ふん)して息の合った踊りを披露する。

 21日の稽古では、展勝地の川辺と桜の精をイメージして振り付けた「さくらさくら」を会員がおさらい。一人ひとりの所作や目線、間など細かい動きにも修正を加えた。

 斎藤会主は「幸の会としてオペラに出演するのは初めて。プロの方々と一緒に演じることで、会の新しい芸風にもつなげていけたら」と期待する。

 娘の芳里さんは「蝶々夫人の世界を演じることは楽しみであり、身が引き締まる思い。イタリア語を研究し、物語の内容を会員と共有しながら舞台を成功させたい」と気持ちを高めている。

立花さんがケイト役で 金ケ崎町出身のソリスト
▲ケイト役で出演する金ケ崎町出身の立花さん

 金ケ崎町出身のソリスト・立花正子さんは、さくらホールでのオペラ「蝶々夫人」にケイト役で出演する。

 立花さんは声楽を伊藤泰子さん(北上市)らに師事。県立黒沢尻北高、武蔵野音楽大声楽科卒、同大大学院修了。オペラ公演や各種コンサートのほか、小中学校・高校の音楽鑑賞教室、イベント演奏、声楽講師などで活動する。

 東日本大震災後には、同ホール主催のチャリティコンサート「がんばろう岩手」に出演。東北被災地の仮設住宅への訪問演奏にも参加した。

 本公演では、蝶々夫人と結婚した米海軍士官ピンカートンの本国での妻ケイトを演じる。立花さんは共に舞台に立つ合唱団に向けて「毎週練習を重ねていると聞いた。共演できるのを楽しみにしている」とコメントしている。

 公演は3月3日午後3時に同ホールで開演。チケットは全席指定でS席9000円、A席7000円、B席5000円など。未就学児入場不可。

 問い合わせは同ホール=0197(61)3300=へ。

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