城下町に春の訪れ くくり雛まつり【奥州】
城下町の水沢に春を告げる「奥州水沢くくり雛(びな)まつり」(実行委主催)は27日、奥州市水沢のメイプル4階催事場をメイン会場に各所で始まった。水沢地方に伝わる優雅なひな人形は来場者の目を和ませている。観覧無料で、3月3日まで。
くくり雛は「押し絵」の技法で作られたひな人形で、厚紙の上に載せた綿を布で包み合わせて仕上げる。起源は江戸中期にさかのぼり、画人・砂金竹香(1858~1930年)が女性と子供の教育のために広め、明治から大正時代に盛んに作られた。同まつりは優雅なくくり雛の継承・普及が狙いで、18回目を迎えた。
くくり雛はメイプルをはじめ市武家住宅資料館、市まちなか交流館、みずさわ観光物産センター、JR水沢駅のほか、商店やホテルなど計14カ所に合わせて1000体余りが展示されている。
このうちメイプルでは、水沢くくり雛保存会(佐々木恵子会長)の会員約20人が丹精込めた500体ほどが紹介されている。いずれも100年余り前の型紙から作ったくくり雛で、今回は新作の鹿(しし)踊りのくくり雛のほか、会員の渡邊麗子さん(63)=金ケ崎町=がくくり雛をあしらって制作、世界各地で紹介されたパッチワーク作品も公開されている。
佐々木会長(72)は、「くくり雛は手作りのぬくもりが伝わる。同じ型紙だが、作る人によりそれぞれの個性や味がある。一つ一つ心を込めて作っているくくり雛をぜひ見てほしい」と話している。
時間は午前10時~午後5時(最終日は4時)。期間中はみずさわ観光物産センターにくくり雛作り体験コーナー(3月1日を除く)が設けられているほか、各会場を巡るスタンプラリーが行われている。
問い合わせは、市観光物産協会=0197(22)7800=、市武家住宅資料館=0197(22)5642=へ。