県内外

いわにちリビングun特集 限定復活「けせんra・shi・ku」

越喜来湾内で作業するホタテ養殖漁師の佐々木淳さん
成長途上のホタテ

 東日本大震災からもうすぐ8年。そこで、連載「けせんra・shi・ku」が約半年ぶりに今回だけの限定復活。大船渡市三陸町の海に行ってきました。

恋し浜ホタテが育つ海へ

 訪れたのは越喜来湾に面した大船渡市三陸町綾里の小石浜地区。海岸まで山が迫る静かな内湾に、全国にファンを持つ「恋し浜ホタテ」の養殖場がある。恋し浜ホタテ生みの親の一人、佐々木淳さんに案内してもらった。

▲小雨が降るホタテの養殖場。天気のいい日はエメラルドグリーンの海面が輝く違った景色が見られる

 この漁場は40メートルの深さがあり、ホタテ養殖に最適。同じ湾内でも、水深、河川の流入、海流によってはホヤやカキの方がうまく育つという。養殖法は大船渡発祥といわれる「耳つり方式」。ホタテを海中につるし、付着生物の除去などを行いながら2年かけて育てる。

食べる人とつながる恋し浜ブランド

 ブランド化する以前から、小石浜では量より質を重視して技術を高めてきた。ただしホタテには共販制度があり、「県産ホタテ」として買い入れ業者に一括で入札される。景気低迷で価格が伸び悩んでいた2003年、佐々木さんら若手漁業者が立ち上がり、綾里漁協が買い入れ人となる「直販」の仕組みを確立。「恋し浜ホタテ」のブランドによる産地直送販売を実現した。

▲三陸鉄道南リアス線の恋し浜駅。3月23日には盛―久慈間がつながるリアス線が開通

 地名をもじったネーミングも受け、09年には三陸鉄道の駅も「恋し浜」に改名。「やりがいは明らかに高まったし、いまだにやりがいが止まらない」と佐々木さん。県内外のイベントに出掛けてホタテをPRしたり、消費者を招いて交流したり。生産者と消費者の顔が見える関係を築いた。

 好調の折、東日本大震災が発生。養殖施設は全壊し、集落の多くの船を失った。このとき、たくさんの支援物資と励ましの言葉を送ってくれたのが、これまで恋し浜ホタテを食べてきた全国の人たち。「何年かかっても復活を待っています」の言葉に、佐々木さんらは「何年もかけてたまるか」と奮起。漁協や集落が一丸となって翌年9月には出荷を再開した。

 昨年は貝毒による出荷規制に苦しんだ。風評被害も懸念される中、佐々木さんの元に届いたのは変わらぬファンの「再開を待っています」という温かいメッセージ。「今、数値いくつですか?と聞いてくる人もいるぐらい、きちんと理解してもらえた」。半年ぶりの出荷のときは、震災翌年の風景がフラッシュバックしたという。

船でピクニックしよう

 佐々木さんは昨年から自身の船で、釣り専門の遊漁船とはひと味違う「権現丸ピクニッククルーズ」の営業を始めた。釣りやマリンスポーツの経験がない人にも、気軽に海に親しんでもらうのが狙い。養殖場の見学、湾内のクルーズ、ビギナー向けの釣り、シュノーケルなど、内容は利用客と相談して決める。「同じ岩手でも、内陸とは違う景色やおいしいものがたくさんある。沿岸に遊びにきてほしい」と佐々木さん。グルメ、風景、そして人。実際に足を運べば、知らなかった魅力が見えてくる。

▲港に船を泊める佐々木さん。奥に見える青い屋根が震災後に再建された荷さばき施設

 

▲海中の自慢のホタテを見せてくれた佐々木さん

佐々木淳さん キャリア26年の漁師で、岩手県認定指導漁業士、小石浜青年部部長、権現丸船長。震災後、がれき撤去に来たボランティアダイバーの姿に興味を抱きスキューバダイビングを始めたダイバーでもある。ダイビングで楽しいのは「自分のホタテを海の中で見ること」。潜水士の資格も所有。ピクニッククルーズについては「恋し浜権現丸ピクニッククルーズ」のフェイスブックへ

momottoメモ

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