北上・西和賀

笑い、元気 届け1300回 後藤孝男さん 福祉施設で奉仕【北上】

見事な芸を見せる後藤さん。巧みな話術で会場の笑いを誘う
三味線や舞踊、軽妙トーク

 「いいがー、いぐがらねー」という始まりの合言葉とともに唄の文句が会場に響き渡る。北上市内の男性(70)が福祉施設で行う活動の一場面。津軽三味線や舞踊などを織り交ぜ高齢者を元気づけ、ユニークな語りで笑いを誘って22年余り。月の半分以上を福祉施設などへの訪問活動に充てる。男性は「好きな事をしているのが楽しく、元気をいただいている施設利用者に感謝したい」。記念すべき1300回目のボランティアとなるワンマンショーが始まった。

多い時は月半分以上

 偉業を達成したのは民舞踊江釣子会会主の後藤孝男さん=同市北鬼柳=。中学校の元教諭で、洋野町(旧種市町)に単身赴任していた30代、家族と離れた寂しさを紛らすように青森県八戸市で三味線や踊りを習ったのが始まり。

 江釣子中の教頭をしていた40代後半にクラブ活動で民謡を教えていた生徒らと地域の高齢者施設を訪問したのを契機に、1997年から個人で活動を開始。管理職になると、休日には精力的に訪問した。2008年度末に定年退職した後は、妻清子さん(68)や同会のメンバーらと共に月の半分以上、多い時では20日ほど北上市とその周辺市町の福祉施設80カ所以上で舞台に立つ。

サービス精神全開

 今月1日、三味線や尺八、CDラジカセ、衣裳、自作の道具類を抱え、軽い足取りで北上市村崎野の「デイサービスセンターいいとよ」に入って来た。ステージとなった畳敷きの小上がりを前に70~90代の利用者約30人が陣取り、1300回目となる後藤さんのショーに見入った。三味線や尺八、唄、舞踊を繰り出し、合間になまり混じりの巧みなトークで高齢者を引き込む。幕開けの「津軽山唄」では、春夏秋冬の歌詞に合わせて重ね着していた衣装を1枚ずつ脱ぎ、変身する様子を披露しサービス精神を全開にした。「南部牛追い唄」では「田舎なれども サァーハーエー」と声を響かせながら、牛の被り物とホルスタイン柄の手拭いを身に着け滑稽さを演出した。

 バックミュージックを流すラジカセのスイッチを切り替えたり、パーテーションに隠れて衣装替えをスピーディーにこなしたりと慌ただしげに11演目披露すると、会場は大きな拍手で包まれた。

 同市村崎野の安保三之助さん(89)は「マドロスといい、股旅といい素晴らしい芸だった。われわれはあの歌や踊りが大好き。これからもお願いしたい」と感謝。施設の小澤真実介護主任(39)は「軽妙なトークや付けまゆ毛などの面白メークで笑いを届けていただいている。利用者だけでなく職員も元気になれる。一人で民謡や三味線、舞踊をこなす芸達者ぶりは見習いたい。これからもみんなを笑顔にしてほしい」と再訪を心待ちにする。

気取らず心込めて

 「慰問はみんなに元気を与え、みんなから元気をもらえる場。好きなことをやって自分をさらけ出すことができる」と話す後藤さん。

 「気取らず、ありのままの自分で気楽に奉仕しようと思っているが、これをやったら笑ってくれるか考える芸人魂がある。心を込めて自分の生き方を見てもらいたい」と根っからの芸人気質。「私の芸を見て下手でも笑ったり、口ずさんだりしてくれる皆さんと、補佐してくれる妻にありがとうと言いたい」と感謝し、「歌の心を伝えるには自分なりの哲学が必要」と無償で舞台に立ち続ける意欲は衰えない。

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