一関・平泉

歩いた場所に映る社会 「大道 鎌倉時代の幹線道路」出版【一関】

「大道鎌倉時代の幹線道路」を手にする岡さん
市博物館骨寺村荘園遺跡専門員・岡陽一郎さん

 一関市博物館の骨寺村荘園遺跡専門員、岡陽一郎さん(51)は、中世の幹線道路「大道」から当時の社会を読み解いた「大道 鎌倉時代の幹線道路」(吉川弘文館)を出版した。古代や近世の道路の史料は多いものの、中世のものが少ないことから、道路の実態から鎌倉時代を探ろうと執筆。岡さんは「道路によって地域は栄えたり、衰退したりする。道路を調べることで地域や社会のイメージが膨らみ、そこで暮らす人々の心までもが見えてくる。道路がいかに大事なのかを知ってもらう機会になれば良い」と話している。

 岡さんは栃木県宇都宮市出身で、青山学院大大学院文学研究史学専攻博士後期課程修了。歴史学で博士号を取得。幼少期から、自宅周辺の道路をたどる遊びが好きで、道路を進むにつれて景色や行き先、沿道の様子などが変化することに面白さを感じたといい、現在の研究にもつながっている。

 同書では▽道路と中世社会▽不思議な古道たち▽大道という名の道路▽なにかが大道をやってくる▽大道と地域社会▽大道と公―などをテーマに、岡さんが実際に歩いた道路や史料を基に、中世に即した道路の在り方を明らかにしている。

 鎌倉時代の「陸奥国骨寺村絵図」に描かれた道路にも触れ、道路の特徴や村人の暮らしなども紹介している。

 同書は四六判、294ページで定価1900円(税抜)。市内では北上書房で販売している。問い合わせは吉川弘文館=03(3813)9151=へ。

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