市博物館テーマ展 没後80年 佐藤紫煙 素朴、愛らしき花鳥画【一関】
一関出身の日本画家・佐藤紫煙(1873~1939年)が得意とした花鳥画作品を披露する一関市博物館のテーマ展「没後80年 日本画家 佐藤紫煙―愛らしき花鳥画」が27日、同市厳美町の市博物館で始まった。植物や小動物を組み合わせ、四季の彩りを一つの作品に盛り込んだ掛け軸やびょうぶ80点が並んでいる。6月30日まで。
紫煙は日本画修業のため、16歳で上京し、日本画家の滝和亭(1830~1901年)に師事。全国の豪商や豪農らから制作依頼が舞い込むほど人気の高い日本画家となり、欧米で展示した作品もあった。
同館の大衡彩織学芸主査・美術担当によると、紫煙は「人生が画風に影響するような劇的なストーリーを持つ画家ではなかった」といい「地味だが伝統的な描き方を踏襲した画家だった」と解説。
花鳥画を得意とした紫煙の作品は、美しさを強調するよう、人工的な加工を施しながらも柔らかな印象で描かれた。
テーマ展では、寄贈品も含め同館所蔵の作品を集めた。
鮮やかな色使いで桜の木に止まるクジャクを緻密に描いた「櫻花孔雀図(おうかくじゃくず)」(制作年不明)や、梅の木とオシドリを表現した「歳寒雅友図(さいかんがゆうず)」(1915年4月)など素朴で愛らしい動物の姿が見た人を和ませる。動物以外にも、虫や魚を描いた作品もある。
メイン会場のほかに廊下も使い、紫煙が愛用した絵の具や筆、文鎮、展覧会の賞状のほか、ガラス乾板から絵画を実物大に再現したパネルも展示した。
大衡さんは「分かりやすい解説パネルを置いているので若者や子供にぜひ見てもらいたい」と話している。
入館料は一般300円、高校・大学生200円、中学生以下無料。5月1、18、19日は入館無料。開館時間は午前9時~午後5時。月曜休館。問い合わせは同館=0191(29)3180=へ。