花巻

直筆原稿を初公開 賢治記念館前後半で展示 特別展「寓話 猫の事務所」【花巻】

賢治ファンの関心を集めている特別展「寓話 猫の事務所」
パネル解説、朗読も

 宮沢賢治記念館の特別展「寓話 猫の事務所」は、花巻市矢沢の同館で開かれている。発表時の原稿は存在しない作品ながら、今展では初期型の直筆原稿を初公開。関連する複製原稿や解説パネル、同館スタッフによる挿絵や朗読が楽しめるコーナーなどを通し、賢治ファンが作品世界に理解を深めている。直筆稿公開は2回に分けて行われ、前半は5月6日まで、後半は7月6~15日。企画展は同月15日まで開かれる。

 同作は賢治の生前発表作で、詩人・尾形亀之助が創刊した雑誌「月曜」の1926(大正15)年3月号に掲載。「月曜」には賢治の「オツベルと象」「ざしき童子(ぼっこ)のはなし」も掲載されている。

 物語は、ネコの事務所で繰り広げられる騒動を通し、人間の差別やいじめの愚かさを描く。初期型稿はネコたちの設定など「月曜」発表版と異なる部分も多く、ファンならずとも興味深い内容となっている。

 直筆原稿は脱酸処理ほかの修復がなされたこともあり、清書後の加筆、訂正なども明瞭に判別可能。同館の宮澤明裕学芸員は「(初期型と発表版で)寓話という構想に変わりはなく、伝えたいことは一緒と思う。(直しの跡などから)表現の違いやその変容を楽しんでほしい」と話す。現存する風景が連想できる物語だけに「賢治さんが目にしていた物を見に、花巻の町を歩いてもらう機会にもなりそう。そんな記念館の楽しみ方もよいのでは」と提案する。

 開館時間は午前8時30分~午後5時。期間中無休。入館料は一般350円(小中学生150円、高校生・学生250円)。問い合わせは同館=0198(31)2319=まで。

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