北上・西和賀

最先端農機具普及へ スマート農業 圃場で技術実証【北上】

GPSを利用した田植え機で、自動で直進走行する様子を示すためハンドルから手を放すオペレーター

 県や北上市などの農業関係機関・団体で組織する北上地方農林業振興協議会は22日、スマート農業の技術実証を北上市二子町の圃場(ほじょう)でスタートさせた。初日は実演会が行われ、全地球測位システム(GPS)を利用し自動で直進走行しながら田植えを行う機械が紹介され、見学に訪れた農家らは生産性向上や労力軽減を実感した。23日に同機械の体験会が行われるなど、11月まで最先端の農業機械の特徴を紹介し、普及につなげたい考えだ。スマート農業の導入に向けた検討材料を提供しようと、北上市内では初めて開かれた。

 同日は、市内の生産者をはじめ県や市、JAいわて花巻、農機具メーカーなどの関係機関・団体などから約40人が参加。位置を把握するGPSを使った田植え機械で、オペレーターがハンドルから手を放しても直進や株間などを自動調整しながら苗を植え付けることができる様子をデモンストレーションした。

 直進を機械に任せられることができれば、オペレーターの疲労が軽減され作業効率がアップするほか、初心者でも安心して作業を行うことができるということで、実証圃場を管理する二子中央営農組合の小田島徳幸代表理事(63)は「今後、スマート農業に取り組みたいと思い見学に来た。これから組合管理の田んぼをデータ化できるようプログラムを組み、実証の結果を見ながら来年度以降順次スマート農業化できる機械を導入していきたい」と意欲を示した。小田島孝市農業振興課長は「見て体験して、ますます収益が上がる体系に向けて取り組んでほしい」と期待した。

 今後、同じ圃場で11月まで、ドローン(小型無人飛行機)や収穫しながら食味測定可能なコンバイン、自動操作できるトラクターの見学と体験が行われる予定で、作業の効率化や労力軽減などについて随時参加者を募って理解を深めてもらう。

 実証では今シーズン、一連のスマート農業導入を通じて栽培や作業に関するデータを一元管理し、翌シーズンの栽培に生かしたい考えだ。

スマート農業 ロボット技術やICT(情報通信技術)を活用し、省力化・精密化や高品質生産を実現する新たな農業。担い手の高齢化が進み労働力不足が深刻となる国内農業事情を背景に、農作業の省力・労働力軽減化とともに、新規就農者の確保や栽培技術力の継承などが期待されている。

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