県内外

サンプル無断採取 県立博物館 遺跡出土鉄器の保存修復で【岩手】

記者会見する県立博物館の赤沼英男上席専門学芸員(右)ら

 自治体などの依頼を受けて遺跡の出土品の保存修復業務を行っている盛岡市の県立博物館で、男性学芸員らが金属製の出土品の一部を、所有する自治体に無断で切り取る行為を行っていたことが分かった。同館が5日の会見で明らかにし、県内遺跡の出土品60点余りで確認されており、今後の調査によってはさらに増える可能性があるという。同館は「保存処理業務に不誠実な対応があった」と陳謝した。

【3、15面に関連】

 同館によると、切り取りは、サンプルとして出土品の一部を採取し劣化状況の調査や保存方法を探るのが目的。所有者の了承のもとで行うのが前提だが、所有者に説明することなく切り取っていた。

 無断で切り取る行為が確認されたのは、2014年度までに同館に保存処理などの依頼があった▽平清水Ⅲ遺跡(野田村教委)▽千苅遺跡(県埋蔵文化財センター)▽比爪館遺跡(紫波町教委)▽白鳥舘遺跡(奥州市教委)▽袖の平遺跡など3遺跡(軽米町教委)―の金属製の出土品。

 約560点の金属製出土品のうち約200点でサンプリングの痕跡があり、このうちすきや小刀など約60点については、当時の課長、専門学芸調査員、複数の作業員が、7、8ミリほどを無断で切り取っていた可能性が判明した。

 サンプルの無断採取は、14年6月に受託した千苅遺跡と平清水Ⅲ遺跡の出土鉄器の保存業務で内部通報により発覚。32点の無断採取に加え、平清水Ⅲ遺跡に関しては行方不明になった出土品があるほか、無断でレプリカ作製とサンプリングした痕跡を他の金属でふさぐ行為などもあり、経緯を説明し謝罪した。他の3市町の出土品に関しては調査中。

 関係した当時の課長は16年3月に出土品を無断で切り取ったとして県文化振興事業団から文書訓告を受けた。発覚以降はサンプル採取は行われていないが、同館は一連の問題を公表していなかった。

 今後、切り取った出土品の詳細を確認し、関係機関に経緯などを説明する方針。同館の千田貴浩副館長は「信頼関係を損なう行為で反省している。事実を明らかにし改めて博物館としての役割を再確認し、信頼関係を取り戻したい」と述べた。

県立博物館関係者 一問一答
 出土品無断切り取り「認識が甘かった」
 5日の記者会見での県立博物館関係者との主なやり取りは次の通り。

 ―なぜ出土品の一部を切り取ったのか。

 出土品の劣化状況や劣化させる有害物質が入っていないか、除去できるかを主に調べるため。保存処理業務の作業工程の一つで必要な工程だ。

 ―なぜ所有者に無断で切り取ってしまったのか。

 依頼者との間で契約に立つ人間と、それを受けて実際に作業する人間のコミュニケーションが不十分で、実際の作業に齟齬(そご)が生じてしまった。依頼主の了解が取れていると思っていた。

 ―14年度に発覚して以降無断サンプリングはないのか。

 14年度に保存処理業務の受け入れを凍結し、作業工程を見直した。担当者同士がコミュニケーションせずに処理できる状況を生んでしまった作業工程表を廃止し、技術的に十分な知識がないと受け答えができないよう、その都度作業工程をつくるようにした。17年度から運用している。

 ―なぜ当時、問題を公表しなかったのか。

 認識が甘かった。事の重大さを認識し調査、しかるべき関係者への対処、説明をすべきだったと反省している。

 ―自治体からの抗議をどう受け止めているか。

 貴重な出土品を預かったこちら側の一方的な認識で無断でサンプリングすることはあってはならないこと。改めて受託内容について調査し関係機関に説明したい。信頼を損ねる行為であり、お詫び申し上げたい。

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