「ゴジラ」細部まで再現 南部鉄器、人気映画とコラボ 及富 節目盛り上げ、限定販売【奥州】
奥州市水沢羽田町宝生の南部鉄器製造販売「及富」(及川一郎代表取締役社長)は、怪獣映画ゴジラの公開と、初代主演俳優宝田明さん(85)の芸能生活がともに65周年を迎えたのに合わせ「南部鉄瓶ゴジラ」を発売した。世界的に根強い人気があるシリーズの節目を盛り上げ、伝統工芸の魅力を発信している。
製品は1954年に公開されたシリーズ原点の初代「ゴジラ」がモチーフ。東京湾から顔をのぞかせた姿をデザインした。尾が持ち手で鼻の部分からお湯が出る構造で、背びれや歯など細部にこだわった造形。台座部分も含め計約15キロで、重量感あるゴジラのイメージと南部鉄器の重厚さがマッチして迫力がある。
商品化の発端は、県の補助を受けて培った3D砂型プリンターによる鋳型作りの技術。英国出身の彫刻家グレゴリー・ローズさん(同市水沢黒石町)が発案した恐竜型鉄瓶の精緻な構造を実現するために使い、さらなる活用を模索していた。
企画した及富の菊地章専務取締役(62)は、初期のゴジラ作品群を銀幕で鑑賞した世代。
知り合いを通じて宝田さんと出会って商品化を提案し、製作・配給の東宝とも交渉。ここ2年で両者の直接監修を経て完成した。
原型はグレゴリーさんが担当した。精密な造形のため、鋳造にはろうを基に型を作る特殊な技法「ロストWAX方式」を採用。これまでも同市の鋳造業界に協力してきたグレゴリーさんが以前提唱した手法で、本格的に製品に使用されるのは初となり、技術面でも大きな成果を得た。
ゴジラ映画は海外版の新作などでブームが再燃中。7月に米国シカゴで開かれるゴジラフェスティバルには、「南部鉄瓶ゴジラ」と宝田さんが共に向かう予定。菊地専務は「映画と同じように商品にものづくりの熱意を込めている。伝統工芸の良さが見直される中、新しい刺激や話題になれば」とアピールしている。
価格は100万円(税別)で、二つの周年記念にあやかって65個を受注生産。東宝直営のゴジラ・ストアからのインターネット注文も受け付けている。問い合わせは及富=0197(25)8511=へ。