花巻

賢治生誕に思いはせ 「産湯の井戸」一般公開【花巻】

産湯の井戸から水をくみ上げて賢治に思いをはせる関係者

 宮沢賢治誕生の際に使われた「賢治産湯の井戸」の公開が1日、花巻市鍛治町の宮澤商店敷地内で始まった。訪れた人が井戸の水をくみ上げ、在りし日の賢治をしのんだ。日曜日と祝日を除き30日まで公開され、全国から訪れる賢治ファンや観光客を一服の清涼剤としてもてなす。

 井戸は直径約1・4メートル、深さ6メートル。賢治は1896(明治29)年8月27日、母イチの実家である宮澤善治家(現同社)で生まれた。出産の際、この井戸からくみ上げた水を沸かして産湯に使ったとされている。一般公開は、地元の鍛治町商店街振興組合(伊藤郁郎理事長)が2002年から宮澤家の協力を得て行っている。

 初日は同組合や市、花巻商工会議所、宮澤商店、県議ら関係者と来賓の50人が出席してお披露目式が行われ、同振興組合の平賀誠二専務理事が「18回目の式を迎えることができたが、井戸と賢治さんについて毎年説明してくれた宮澤啓祐さん(宮澤商店前社長)が3月に亡くなり、寂しい限り。令和になっても変わることのない賢治さんへの思いを井戸に触れて再確認してほしい」と伊藤理事長のあいさつを代読し、テープカットで公開を祝った。

 出席者は井戸から水をくんでは、用意された大きなおけに移し、賢治の誕生前後の様子を想像しながらひんやりした水に触れていた。故宮澤啓祐さんのいとこに当たる会社役員の宮澤一郎さんは「井戸の水は豊沢川の伏流水とされ、今もこんこんと湧き出ている。子供の頃は井戸や近所が格好の遊び場で水浴びを楽しんだ」と思い出を語っていた。

 一般公開は30日まで(午前9時~午後5時、日曜、祝日は除く)。7日午前9時30分からは井戸かきが行われる。

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