部活動、どうあるべきか(中)

校外活動を求める生徒への対応はまちまちだ
部活動とは違う環境で頑張りたい、でも… 「部活」に拘束される生徒たち

 国や県が示したガイドラインや方針では、「学校外のスポーツ活動や文化的活動に取り組む生徒に配慮した取組を推進する」と示されている。それにも関わらずこうした配慮が見られないと訴える母親(一関市、30代)と娘のケースを見てみよう。

 今春、中学校に進学した娘は、入学前から学校の部活動とは別の、地域のクラブチームでプレーしたいと考え、体力の消耗が少ない文化部へ加入するつもりでいた。ところが、いざ入学すると半ば強制的に運動部への加入が求められた。娘は迷った末に、ある運動部に所属しながら週末に自分の望む競技に取り組む事にした。しかし、学校生活がスタートするとすぐに「二足のわらじ」の大変さに気づいたという。娘の学校では練習時間や休養日はしっかりと管理されているというが、校外活動に重きを置きたいとなると、部活休養日にクラブの練習に参加することになる。娘は休みをしっかり取ることもままならない状況だ。加えて経済的な負担も大きい。積極的に入部をしたわけではないということもあって、公式戦などに出場するつもりが無いことを顧問に伝えたが、結局はユニフォームや用具一式を揃えた。母親に聞くと「娘だけ用具が無いとなると不憫な思いをさせてしまうと思って色々とそろえたが、娘のやりたい競技の用具も買わなければならないため家計にはかなりの負担だ」と吐露した。

校外活動への配慮求める声と具体例

 一体「校外活動に取り組む生徒への配慮」はどこへいってしまったのか。同市教育委員会が策定した方針を見ると、県が示した方針と比べて簡素なもので、校外活動への配慮に関する記述は見当たらない。担当者に聞くと、「そうした(校外活動への)配慮は順位性が低いのではないかということで盛り込んでいない。まずは実効性のあるものからやっていきましょうということ。方針は毎年見直す」と話す。確かに、必ずしも国や県の方針と同一である必要はないだろうし地域それぞれの事情もある。しかし、実際に困難に直面している生徒や保護者からすればふに落ちない部分はあるようだ。

 さらに取材を進めると「校外活動部」を設置している中学校が県内にあるという情報をつかんだ。校外活動部は、部としての実体的な活動は無く、民間のクラブチームなどでの活動が部活動として見なされるという。調べると盛岡市を中心に校外活動部のある学校がいくつかあった。そのうちの一つ奥州市立水沢南中学校は昨年度、保護者からの希望により校外活動部を新たに設置した。同部に所属する生徒たちが校外で取り組んでいるのは、野球、サッカーをはじめとしたスポーツ活動で、ピアノの個人レッスンを充てている生徒もいる。顧問を務める大西優教諭は「クラブチームの活動を掛け持ちしている生徒の負担が大きいのではないか、生徒たちの多様な活動をしっかり支えていこう、ということです。まだ手探りの状況ですが、生徒たちからは好評です」と話す。

 実際に同校の校外活動部に所属している生徒に話を聞いた。向かった先は、同市に隣接する北上市のクラブチーム「ヴェルディサッカースクール岩手」。同スクールには県南各地から中学生が集まって平日夜間に練習を行い、週末は試合に臨む。校外活動部に所属する男子生徒(3年)は、以前はクラブチームと並行して学校のサッカー部にも所属していたが、競技者登録や大会規定の関係でクラブチームでしか公式戦に出られないこともあり、「周りに迷惑を掛けていた」ように感じていたという。校外活動部ができた今は、学校での部活動は一切無く、「クラブでの練習に集中できている」といい、加えて「時間に余裕ができたので勉強に充てられる時間が増えた」と充実した表情を見せた。同校では、クラブチームに生徒の活動内容を報告書にまとめてもらい、その様子を把握するようにしているという。校外活動部は「学校外の活動に取り組む生徒への配慮」の具体例であり、今後の広まりに注目が集まる。

▲ヴェルディサッカースクール岩手の練習。「校外活動部」の生徒は、まだ一部に過ぎない

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momottoメモ

部活動、どうあるべきか

(上)長過ぎる練習時間 苦悩する保護者

(中)部活動とは違う環境で頑張りたい、でも…

(下)部活動への加入は絶対?求められる在り方とは

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