部活動、どうあるべきか(下)

ある一関市立の中学校の生徒手帳。中には「部活動に加入します。」の一文が(画像を加工しています)
別の中学校の生徒手帳には入部に関する記述は無い
部活動への加入は絶対?求められる在り方とは

 最後に「そもそも部活動は絶対に入らなければならないものか?」という疑問に迫る。県内の中学校、高校に通う生徒の大多数は部活に入部しており、基本的には「入部しない」という選択肢は無い。ただし、現在の学習指導要領では中学校、高校ともに「生徒の自主的、自発的な参加により行われる部活動」とある。自主的、自発的ということは、「入らない」という選択肢も用意されて良さそうだが、本県において現時点ではおおむね「全員入部」が実態だ。

 この「全員入部」に疑問を呈する声もある。元中学校長の千葉敏之さんは、「本当にやりたい部活が無いのにあえてどれかを選ばなければならないのはかわいそう。私は現役の頃から、『全員入部』は時代遅れだと思っている」と話す。千葉さんはかつて顧問を務めた遠野中サッカー部を全国大会へ導き、教え子にはJリーガーもいるが、そうした「バリバリ」の先生でも「全員入部はおかしい」と感じているようだ。「以前の考え方だと、放課後に空き時間があると生徒の生活が乱れるのではないかと心配してしまうが、経験上、そんな事は無い。全部学校による縛りの中でやるというのは古い考えだ」としつつ、その一方で現在のやり方を変えることは大きな労力が必要となる事については、「これまで部活動で頑張ってきた先生たちに敬意を表しながら、からまった根をゆっくりほぐすように変えていけばいいと思う」と現実を見据える。

「全員入部」認めない 新たな動き

 そんな中、これまでの状況を大きく変えるのではないかと見られているのが、文化庁が昨年12月に発表した「文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」だ。同ガイドラインは、先に発表された運動部向けのガイドラインと同様、文化部でも行き過ぎた活動がなされないように策定されたものだが、この中で「生徒の自主性・自発性を尊重し、部活動への参加を義務づけたり、活動を強制したりすることがないよう、留意すること」と明記された。つまり「全員入部」の否定だ。県教委に問い合わせると、同ガイドラインについては「精査、検討中だ」という。今後早い段階で、運動部向けの方針と統合させた新たな方針を示すことにしているといい、この中には国と足並みをそろえる形で強制入部をさせないような内容が盛り込まれる可能性は高いと見られる。これについては県や各市町村の動向を注視したいところだ。いずれ国が「全員入部」の強制を認めない見解を明確に示した事実は大きい。

▲国は相次いで部活動に関するガイドラインを打ち出している

 部活動をめぐる議論は、ややもすれば否定的な論調になりがちだが、「部活出身」で現在トップアスリートとして活躍する選手は数え切れず、むしろ部活動こそが我が国のスポーツの発展を支えてきたと言っても過言ではない。一方で、部活動とは違うステージで頑張りたい生徒や、一旦入部した後でどうしてもやめたくなってしまった生徒にとっては身動きしづらい現実がある。今まさに部活動を取り巻く枠組みの変化が求められており、「生徒本位」の部活動とは何かについて、学校、保護者、そして生徒本人も考えるべき時が来ている。

(デジタルコンテンツ室 千葉剛之)

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momottoメモ

部活動、どうあるべきか

(上)長過ぎる練習時間 苦悩する保護者

(中)部活動とは違う環境で頑張りたい、でも…

(下)部活動への加入は絶対?求められる在り方とは

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