花巻

機械遺産に認定 田瀬ダム高圧放流設備【花巻】

高圧放流設備が機械遺産に認定された田瀬ダム=田瀬ダム管理支所提供
日本学会 建設技術高く評価

 一般社団法人日本機械学会(東京都新宿区、森下信会長)は、花巻市東和町の田瀬ダム「高圧放流設備」を機械遺産に認定した。高水圧状況下でも開閉できる「スライドゲート」をダム内部の放流管と組み合わせ、高水圧下でも放水できる日本初(建設当時)のシステムで、ダムの機械設備としては全国初認定。わが国の多目的ダム建設における技術面での礎となった点が高く評価された。

 田瀬ダムは1941年に施工開始したが、44年に戦争の影響で工事を中断。47年のカスリン、48年のアイオン両台風で地域に大きな被害が発生したことから、50年の工事再開に際し、ダム高の5メートルかさ上げや洪水調整容量増強(約4倍)など計画を見直して建設された。完成は54年。

 高圧放流設備はこの見直しに伴い、利用水深を大きくするため設置。米国の技術も導入し水深41・3メートルという高水圧下でゲート開閉できる機能を備えたことから、貯水容量を最大限に利用できるようになった。日本のダム機能が飛躍的に進歩したターニングポイントと評される。

 洪水調整だけでなく発電、かんがい、工業用水といった機能を兼ね備えた多目的ダム建設、設計技術の確立・寄与が認められた選定を、関係者も大歓迎。田瀬ダム管理支所の加藤一典支所長は「先人の努力のおかげで頂いた名誉ある賞で、たいへんありがたい。この認定を機に、一般の方にもダムの機能や構造などに興味を持っていただけたら」と波及効果にも期待する。

 機械遺産は、歴史に残る技術や関連遺産を保存し、文化的遺産として次世代に伝える目的で認定されている。今年度は同ダム設備など5件が選定され、7日の「機械の日」に東京都で認定式が行われた。これまでの認定数は99件で、本県では新興製作所(同市)の機械式通信機器群なども認定されている。

記念施設カード配布 管理支所

 田瀬ダム高圧放流設備の機械遺産認定に伴い、花巻市東和町の同ダム管理支所で8日から、認定記念施設カードの配布が行われている。1日から「北上川五大ダムスタンプラリー」も実施されているとあって、夏休みの子供たちや全国のダム好きが同支所を訪れ、記念撮影やダム周辺の散策を楽しんでいる。

 このうち機械遺産認定記念カードは、2020年3月末まで配布予定の「限定もの」。8日の開始早々多くのファンが訪れているといい、同支所の加藤一典支所長は「遠くは北海道、福島県などからお越しいただいている。今後はダム周辺の紅葉の景色や、スタンプラリーも楽しんでいただけたら」と話す。

▲田瀬ダム管理支所では機械遺産認定記念とスタンプラリーの両カードを配布中。夏休みの子供たちにも人気

 夏休みを利用して9日に同ダムを訪れた米内稔也君(11)=神奈川県茅ケ崎市=は、記念カードなどを手にしてにっこり。支所玄関口に設けられた記念撮影ポイントで写真に納まるなどし「何もなかった場所に、人間が何年も掛けてできるのがダムの魅力。すごい歴史があると感じる。ダム巡りする人が増えるし、スタンプラリーはとてもいい企画」とうれしそうに語っていた。

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