一関・平泉

美女惑わす幽玄の舞台 中尊寺薪能【平泉】

かがり火の中、華やかな舞台が繰り広げられた能「紅葉狩」の一場面

 喜多流第42回中尊寺薪能(中尊寺薪能の会主催)は14日夕、平泉町の同寺白山神社能舞台で行われた。かがり火に照らされ厳かな雰囲気に包まれた舞台では能「紅葉狩」など多彩な演目が上演され、詰め掛けた約800人の観衆を魅了した。

 能の人気演目で知られる「紅葉狩」は、紅葉の下で鬼が化けた美女に誘惑される平家一門の武将平維茂が、神から授かった剣で危機を脱するという筋立て。前半の美女が後半鬼に一変する主役のシテを同寺ゆかりの能楽師佐々木多門さんが扮(ふん)し、紅葉の枝を挿し込んで飾られた華やかな舞台で華麗な舞を披露した。同寺の薪能に30回以上訪れているという花巻市の男性(81)は「夕闇の木立の中、かがり火に照らされたきらびやかな能装束が醸し出す幽玄の世界は何度見ても素晴らしい」と魅力を語った。

 和泉流狂言の「昆布売(こぶうり)」では、通り掛かった昆布売りに太刀を持たせて無理やり供に仕立てようとする大名役を野村萬斎さん、大名の態度に我慢しきれなくなり、逆に太刀を抜き昆布を売れと脅すシテの昆布売を人間国宝でもある父万作さんが務めた。狂言に先立ち、仕舞「養老」「枕慈童」の2番も上演された。

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