一関・平泉

被告に懲役22年 南十軒街女性殺害 盛岡地裁「執拗かつ残虐な犯行」

 2018年8月に一関市字南十軒街の無職及川ヨシコさん=当時(80)=が自宅で殺害された事件で、殺人や住居侵入などの罪に問われた同市字北霻霳の無職佐藤仁一被告(75)の裁判員裁判の判決公判は13日、盛岡地裁で開かれた。加藤亮裁判長は殺人について無罪を求める弁護側の主張を退け、佐藤被告に懲役22年(求刑懲役25年)を言い渡した。

 判決で加藤裁判長は検察側の証拠に基づき、佐藤被告による殺害と認定。根拠として及川さん宅で発見された凶器の包丁に佐藤被告と及川さんのDNA型を含む混合血液が付着し、2人以外の血痕が発見されていないことなどから「被告が被害者を殺害した犯人であると強く推認される」とした上で、被告が及川さん宅に侵入した際、左手親指に傷を負っていたこととも整合するとした。

 殺害の動機については「判然としないものの、被告が犯人であるとの推認に合理的な疑いを差し挟むものではない」と指摘。第三者の存在をうかがわせる痕跡も見当たらないことから、佐藤被告には動機がなく第三者が殺害したとする弁護側の主張を退けた。

 量刑理由で加藤裁判長は「瀕死(ひんし)の状態となった被害者に凶器を変えてさらなる攻撃を加えた。強固な殺意に基づく執拗(しつよう)かつ残虐な犯行だ」と断罪。計画的な殺害だったとは言い難いものの、前科や不合理な弁解を繰り出す被告の更生の可能性を大きく考慮する事情はないとした。

 判決文が読み上げられる間、佐藤被告は座ったまま手足を小さく動かし、口をとがらせて首をひねるなど落ち着かない様子を見せていたが、加藤裁判長から「判決の中身は分かりましたか」と問われると「はい、分かりました」とはっきりとした口調で答えた。

 閉廷後、検察側は「事実認定は適切な判断で、量刑もおおむね妥当。凶器の血液が決め手となった」と評価。弁護側は「控訴するかは被告と相談して決める」とした。

 判決などによると、佐藤被告は昨年8月16日ごろ、及川さん宅に侵入し、はさみのようなものと包丁で多数回突き刺すなどして失血死させた。同月13日には市内のコンビニエンスストアで果物1袋(販売価格266円)を盗んだ。

「事実のみ見て判断」裁判員4人が会見

 閉廷後、裁判員と補充裁判員8人のうち20~60代の男女4人が記者会見し、感想を述べた。殺人について否認し、公判中は供述を二転三転させた佐藤仁一被告に対し、一般市民の感覚による判断を求められた裁判員たちは「難しかった」「事実のみ見るようにした」などと語った。

 60代の男性は「初めてだし難しかった。一つ一つ悩んだ」、40代の男性は「被告人の言葉は難しく感じられたが、事実のみを見て判断するように心掛けた」と話し、30代の男性は「みんなで話し尽くして出した結論。あまり感情を持たないよう気を付けた」と冷静な判断を重視していた。

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