奥州・金ケ崎

架線集材を自動化 イワフジ工業 関係者に実演 世界初の実用化へ一歩【奥州】

イワフジ工業が世界初の実用化に向け開発を進めているロージンググラップル。実演には官民の林業関係者が多数訪れた

 林業機械製造販売大手のイワフジ工業(本社奥州市水沢字桜屋敷西、川崎智資代表取締役社長)は、急傾斜地から木材を運ぶ架線集材の作業を自動化する機械・ロージンググラップルの開発を進めている。実用化すれば世界初となる技術。18日に市内で公開と視察検討会が行われ、AI(人工知能)なども駆使して自動化の第一歩を踏み出した機械を企業や関係機関・団体向けに実演した。

 架線集材は、急傾斜の伐採地と麓の集積場をワイヤーロープで結び、伐採された木をつるして運び出す方法。国内では作業車両を使う方法が主流だが、急傾斜地には不向き。一方架線集材も不整地での荷掛けなどが必要で、高齢化の進む現場の課題となっている。

 同社は国内で製品を展開。2017年度から林野庁の補助を受け、ロージンググラップルの開発に着手した。19年度のスマート林業構築実践事業など、これまでに受益した同庁の補助金は計約5000万円に上る。

 ロージンググラップルは、クレーンゲームの要領で木材を自動で運ぶ。タワー付き集材機とセットでの運用となる。荷掛け、荷解きの自動化により、実動作業に必要なのはオペレーター1人。省力・効率化、作業の安全性向上などが期待される。

 世界的に多分野で導入が進むAIの技術には、アイエスエス(滝沢市)が協力。画像認識機能が運ぶべき木材を自動的に識別する。また本体にはリチウムイオンバッテリーを搭載し、滑車の回転を利用して自家発電し、動作効率を向上。生分解作動油を使用するなど、環境にも配慮した設計となっている。

 同日の公開は北上川中流流域森林・林業活性化センターが主催し、同市胆沢若柳地内の国有林で実施。145人が出席する中で実演が行われ、官民の林業関係者が熱視線を送った。

 今後も作業効率や動作の正確性などを高め、製品化を進める。隣県からも含め多数が集まった公開に、川崎社長は「国内の森林の42%は30度以上の傾斜地といわれ、絶対に必要となる技術。もっと南での展開を想定していたが、これほどの人が集まるとは」と刺激を受けた様子だった。

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