奥州・金ケ崎

成功期し演技に磨き 町民劇場6日公演 稽古佳境、役者ら一丸【金ケ崎】

6日の本番に向け、稽古に熱が入る第11回金ケ崎町民劇場「でんでら国」のキャストら

 第11回金ケ崎町民劇場「でんでら国-ワシらは捨てられたのではない、ここで生き直すのだ-」は6日、同町西根南羽沢の町中央生涯教育センターで午前、午後計2回公演で行われる。同町在住の作家平谷美樹さん(59)の同名小説を題材にした脚本で、スタッフ、キャスト合わせて55人が一致協力して準備を進める。キャストによる稽古も佳境を迎え、本番での舞台成功を誓い、せりふや演技に磨きを掛けている。

 脚本は平谷さんの小説を原作に、町民大学2018シナリオ講座受講者である高校生から70代までの町内外6人による「チーム*あすたりすく」が、平谷さんの指導を受けながら共同制作。江戸時代末期、年寄りたちが田畑とともに余生を暮らすもう一つの国「でんでら国」を舞台に、隠し田を疑い、追求の手を強めていく代官所に対して、国を守ろうと年寄りたちが一発逆転の秘策を練り、物語は展開していく。

 キャストは幼児・小中高生から高齢者まで幅広い世代が集い、会場となる同センター多目的ホールではセットも設けられたステージで通し稽古が行われている。演出を務める小原優子さん(66)=同町西根、劇団我夢所属=からせりふ回しや表現、舞台転換などに対する指導を受けながら、演者らは生き生きと躍動する年寄りたちをはじめ、それぞれの役に一層の魂を入れた。

 切れ者の年寄りである主演・善兵衛役の村井幹啓さん(52)=同町六原=は「せりふは多いが、ずっと舞台に出ていて流れが分かるのでやりやすい。若い人たちの演技もどんどん良くなっているので楽しみ。善兵衛と自分の化学反応を見てもらえるよう、自然体でいきたい」と本番への意欲を示していた。

 開演は午前の部が10時、午後の部が2時(開場は各30分前)。チケットは全席自由で前売りが高校生以上1000円(当日1200円)、小中学生500円(同700円)。同センターや町内6地区生涯教育センターなどで取り扱っている。

 問い合わせは町中央生涯教育センター=0197(44)3123=へ。

あらすじ

 幕末の外館藩大平村。60歳になった農民の善兵衛と源助は村のしきたりに従い、家族に別れを告げ、身一つで御山と呼ばれる場所に旅立つ。

 そこは、年寄りたちがこの世のしがらみから解放され、田畑とともに余生を謳歌(おうか)して暮らすもう一つの国「でんでら国」だった。

 折しも、罪人を取り締まる別段廻役の舟越平太郎は、大平村にあるといううわさの隠し田調査を命じられる。村は飢饉(ききん)の年でも年貢をきちんと納めるため、代官所に届け出ない隠し田を作り、ひそかにコメを収穫しているのではという疑いがあったからである。それは死罪に当たる重罪だった。

 調査を始めた平太郎だが、存在の糸口をつかんだ矢先に崖から川に転落してしまう。重傷を負った平太郎を助けたのは善兵衛と源助たちであった。けが治療のためとどまる平太郎と年寄りたちが少しずつ互いを理解し始めた頃、隠し田を追う代官所の包囲網は刻々と着実にでんでら国に迫っていた。

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